館山市那古:那古寺
過日,真言宗智山派・補陀洛山那古寺(千葉県館山市那古)を参拝した。本尊は,千手観世音菩薩。
那古寺は,坂東三十三観音第三十三番(結願所)となっている。
那古寺は,養老元年(717年)に開創と伝えられる古い寺院。
洲崎神社に関しては,吉田東伍『増補大日本地名辞書 第六巻 坂東』(冨山房,初版明治36年・増補版昭和45年)の573~574頁,安房郡教育會編『安房郡誌』(大正15年・復刻版昭和47年)の793~796頁に詳細な解説がある。
本坊の前に駐車場がある。そこにクルマを停め,そこから先は徒歩で往復。本坊には阿弥陀如来像が安置されている。この阿弥陀如来像は,元は阿弥陀堂内に安置されていた。
本坊の戸が開いていたので,合掌し,拝見した。威厳のある阿弥陀如来像だった。
本坊から少しだけ山を登ると大きな仁王門がある。そのあたりには古樹が繫っている。仁王門から続く参道の脇には,阿弥陀堂,多宝塔,鐘楼などが並んでいる。
その奥に本堂(観音堂)がある。本堂の前あたりからの眺めはとても素晴らしい。
本堂(観音堂)の奥には,元は大日如来を祀る大日堂があったが,その後,大黒天を祀る大国堂,龍王を祀る龍王堂及び岩舟地蔵を祀る地蔵堂となっていた。
しかし,現在ではこれらの御堂は存在せず,残骸のような岩肌が露出しているだけとなっている。地震による落石により崩壊したらしい。
ただし,岩舟地蔵尊は,多宝塔の近くに移されている。その覆堂は真新しい。
御堂の所在地付近がこのような状況にあったため,危険かもしれないと判断し,本堂の裏山にある展望台まで登ることは断念した。
しかし,それらの御堂等を除くと,那古寺には,貴重な文化財が多数保存されている。素晴らしい。
那古寺の本堂(観音堂)は,江戸中期の建物であり,厨子と共に千葉県指定の文化財となっている。
那古寺の本尊である木造千手観音立像は,いわゆる藤原仏と呼ばれる作風によるものであり,平安時代後期の作と推定されている。館山市指定の文化財となっている。
那古寺に安置されている銅造千手観音立像は,願主である平胤時の名が刻まれているものであり,国指定の重要文化財となっている。
那古寺の本坊に安置されている阿弥陀如来坐像は,千葉県指定の文化財となっている。
那古寺の多宝塔は,宝暦11年(1761年)に建立された建物であり,千葉県指定の文化財となっている。
那古寺に保管されている絹本著色僧形八幡神像は,千葉県指定の文化財となっている。
那古寺の裏山の自然林は,全体として館山市の天然記念物に指定されている。
那古寺の本坊前にある大蘇鉄は,館山市の天然記念物に指定されている。
以上のほかにも多数の文化財がある。
本坊
那古寺の大蘇鉄(Cycas revoluta)
説明板
案内板
参道
スダジイ(Castanopsis sieboldii)の花
仁王門
寺号標
阿弥陀如来像の説明板
那古寺本堂(観音堂)の説明板
多宝塔の説明板
千手観音立像の説明板
参道
本堂(観音堂)
同上
同上
本堂の彫刻(一部)
本堂前から見える景色
大黒堂跡(手前)
龍王堂・岩舟地蔵堂跡(奥)
阿弥陀堂
多宝塔
鐘楼
岩舟地蔵
地蔵尊
手水
那古寺の裏山
補陀洛山那古寺
館山市:【国指定重要文化財】銅造千手観音立像
館山市:【県指定有形文化財】那古寺観音堂 附 厨子
館山市:【市指定有形文化財】那古寺木造千手観音立像
館山市:【県指定有形文化財】木造阿弥陀如来坐像
館山市:【県指定有形文化財】那古寺多宝塔 附 木造宝塔
館山市:【県指定有形文化財】絹本著色僧形八幡神像
館山市:【市指定天然記念物】那古山自然林
館山市:【市指定天然記念物】那古寺の大蘇鉄
館山市立博物館:那古寺の文化財
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