埼玉県比企郡吉見町黒岩:伊波比神社

過日,伊波比神社(埼玉県比企郡吉見町黒岩)を参拝した。祭神は,建速須佐之男命・櫛稲田比賣命。

伊波比神社は,和銅年間に創建されたと伝えられる非常に古い神社。延喜式の武蔵國伊波比神社に比定されている。

ざっと拝見した印象としては,現在の境内地は後代の造作によるものであり,元は社殿背後の山の頂上または尾根上に神社があったのではないかというような印象を受けた。

『吉見町遺跡地図』によれば,神社境内地の北側一帯は,神代遺跡と呼ばれる古墳時代の集落跡遺跡の遺跡包蔵地とされている。諸条件に照らすと,この遺跡所在地のどこかに最初の神社が造営された可能性がある。
あくまでも素人の仮説に過ぎないが,茶臼山古墳群を構成する古墳は,古墳時代において現在の吉見町一帯を支配し,伊波比神社において氏神としての祭祀を挙行していた一族の墳墓なのではないかと考えられる。

また,『吉見町遺跡地図』によれば,神社境内地の西~南西の方に位置する比較的広い場所一帯は,観音遺跡と呼ばれる寺院跡遺跡の包蔵地とされている。地形及び近隣の遺跡との関係から推測してみると,伊波比神社は,観音遺跡に存在した寺院と同一の習合した神社であったか,または,その寺院と同一の境内地に鎮座する神社だったと想像するのが妥当ではないかと思う。
なお,観音遺跡の所在地に含まれている山の斜面には吉見観音として知られる真言宗智山派・岩殿山光明院安楽寺(埼玉県比企郡吉見町御所)がある。


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鳥居


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参道


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石段


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社殿


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社殿前の様子


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境内社(岩崎神社)


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手水


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鎮座地付近の全景



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