香取市小見:徳星寺(小見城跡)
過日,天台宗・富光山大乗聖院徳星寺(千葉県香取市小見)を参拝した。本尊は,阿弥陀如来。
徳星寺は,天平9年(737年)に行基によって創始された古い寺院。香取市の文化財アーカイブの記載によれば,創始当時の境内地は現在の香取市田部にあり,現在の香取市吉野平(富光)に移った後,南北朝時代に現在の所在地に移転し,今日に至っているとのこと。
千葉縣香取郡役所編『千葉縣香取郡誌』(大正10年)の439~440頁に「富光山大乗聖院徳聖寺」として記載のある寺院と同一の寺院だと解される。この記載によれば,初めは小見字富光にあり,後に現在の地に移り,千葉氏の祈願寺だったとのこと。
また,『千葉縣香取郡誌』の440頁によれば,境内には,千人塚碑,高木堅壽碑,小久保忠雄碑,観猛僧正碑,日之橋碑等があるとされている。
加えて,同書の440頁によれば,「天海僧正裏書徳星西雲二寺對決書」が伝わっているとのこと。寺院間に争訟があったということなのかもしれないが,内容を知らないので確実なことは言えない。しかし,現存するとすれば,かなり重要な文化財であり,かつ,法制史上でも貴重な史料の一つであることは疑いようがない。
徳星寺の現在の本堂は,元禄8年(1695年)に改築された建物であり,香取市の文化財に指定されている。また,徳星寺に伝わる十六羅漢像(周丹筆)も香取市の文化財に指定されている。
徳星寺の境内地は,鎌倉時代には小見城(小見砦)だった場所。小見城(小見砦)は,千葉氏の流れを汲む東氏の一族である木内胤朝の子・木内胤時が築城して小見氏と称したとされている。
現在では城跡としての遺構はほとんど残されていないけれども,本堂の背後には小見城の土塁跡とされている地形部分が少しだけ残されている。
徳星寺入口付近
山門改修工事趣意書
参道
本堂
徳星寺の文化財の説明板
通用門
庫裏の門
伝教大師像
弘法大師堂
古い供養塔
六地蔵
参道にある古い板碑
参道に並ぶ古碑等
小見城の残存土塁?
同上
香取市:アーカイブ香取遺産 Vol.098 徳星寺本堂と十六羅漢像 密教道場の構造風格を残す本堂
余湖:小見城(山田町小見大屋敷)
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