千葉県印旛郡栄町安食台:三峰古墳

先日,三峰古墳(千葉県印旛郡栄町安食台)を訪問し,見学した。

三峰古墳は,栄町教育委員会の文化財リストには記載があるが,遺跡地図上の所在地の表示は正確ではない可能性が高い。遺跡地図上の所在地は急峻な斜面なので,もしその表示が正しいとすれば,三峰古墳は既に(崖地崩壊等により)隠滅しており,三峰神社も消滅したと理解すべきことになる。

千葉情報マップ上では,三峰古墳」は,径18mの円墳とされている。その所在地は,安食稲荷神社(千葉県印旛郡栄町安食台)の南東約50mのところに位置している三峰神社の所在地とほぼ一致している。

千葉県文化財保護協会編『千葉県所在古墳詳細分布調査報告書』(平成2年3月)には三峰古墳の記載がない。

国土地理院の地図を調べてみると,三峰神社の鎮座地以外には周辺に墳丘らしき地形部分が存在しない。

以上の諸点から,三峰神社(三峯神社)の所在地が三峰古墳の所在地であると推定した。

現在,三峰古墳の墳丘上には「三峯神社」の石碑が建立されている。

また,墳頂付近には「寛政六申寅年九月吉祥日」の日付のある「湯殿山 羽黒山 月山 裞言三百萬遍」と読める石碑が建立されている。「裞言」の部分は「祝言」の誤読かもしれないが,要するに,この石碑は,「念佛三百萬遍供養塔」と同様に,出羽三山を崇敬する念佛または祝言を三百萬遍繰り返して奉納した石碑なのだろうと思われる。江戸時代のことなので,神仏習合を当然の前提にして考える必要がある。

なお,これらの石碑がある場所には元は御宮か祠があったのではないかと推測されるが,よく分からない。


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南東の方から見た三峰古墳のある山
(斜面の上にある山林部分が墳丘)


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南東側からの登り道
(写真右手が墳丘の一部)


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南西の方から見た墳丘


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墳丘斜面上にある三峯神社碑


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墳頂付近にある湯殿山・羽黒山・月山碑


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墳頂付近の様子


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墳頂付近から参道の方を見下ろした様子


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墳丘の南側斜面の一部


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北西の方から見た三峰古墳所在地付近



 栄町教育委員会:埋蔵文化財所在地名表「安食」



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