香取市佐原イ:惣持院

過日,真言宗智山派・東光山惣持院(千葉県香取市佐原イ)を参拝した。本尊は,愛染明王。

惣持院の創始等の詳細は不詳。

鈴木哲雄「下総国一宮香取社の神宮寺・寺院関係資料に関する基礎的研究」(平成29年)によれば,惣持院の本尊である愛染明王は,元は香取神宮の本社西方にあった愛染堂に安置されていたが,明治時代の廃仏毀釈によって愛染堂が破壊されてしまったため惣持院に移され,以後,惣持院の本尊になったとのこと。

佐原市役所編『佐原市史』(昭和41年)の983~984頁によれば,惣持院は,かつては「追野」という場所にあり,20余の末寺をもつ大寺院であり,真言宗の談林であり,明徳2年(1391年)に乗賀法印により中興開山された寺院とのこと。『佐原市史』の984頁では,香取神宮と緊密な関係にある寺院だったことが指摘されている。

何度か大火災に遭って古記録を失ってしまったため,古い時代のことがわからなくなってしまったようだ。昭和29年にも火災に遭い,堂宇伽藍全てを焼失してしまったため,現在の所在地に移転したとのこと。

惣持院の境内には多数の古い板碑が建立されている。いずれも貴重な文化遺産であることが明らかなのだが,正元元年九月三日在銘の板碑は,千葉県指定の文化財となっている。


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惣持院入口付近


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本堂


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客殿


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庫裏


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板碑


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板碑の説明板


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板碑


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板碑群


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同上


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弘法大師興教大師碑


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石塔



 千葉県教育委員会:板碑(正元元年九月三日在銘)



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