小美玉市竹原:孝謙天皇宮
過日,孝謙天皇宮(茨城県小美玉市竹原)を参拝した。
この孝謙天皇宮は,弓削道鏡が孝謙天皇を偲んで建立した御宮だとされている。
孝謙天皇宮は,現在では竹原神社(茨城県小美玉市竹原)に合祀されているということになっている。しかし,孝謙天皇宮の鎮座地には御宮の建物と鳥居がちゃんと建立されており,地区の人々によって大事に守られてきた。
弓削道鏡は,孝謙天皇宮の近くに塚を築き,その塚も礼拝していたと伝承されてきた。しかし,この伝承にいう塚とは,現在では削平されて隠滅してしまった岩窟権現古墳(岩屋権現古墳)という規模不詳の古墳と混同して伝承されてきたものと推測される。
つまり,弓削道鏡は,もともと存在した古墳を信仰塚とし,その古墳に遺されていた箱式石棺に三種の神器(鏡・玉・剱)を入れて保管場所とし,礼拝していたのであり,岩窟権現古墳とは別に新規に塚を築いたというわけではないのだろう。
ただし,封土が既に失われていた古墳の上に弓削道鏡が改めて土を盛って塚としたというようなことがあったのかもしれない。
「岩窟権現」という呼称から考えると石室が存在したかのような印象を受けるので,この古墳には実際に石室があったのかもしれない。しかし,私見としては,「岩窟」は誇張表現であり,実際には石室が存在せず,箱式石棺が竪穴に埋納された古墳だったのではないかと想像する。
現時点では,岩窟権現古墳は隠滅してしまっており,いばらきデジタルマップ上でも「隠滅」と明示で表示されているけれども,同古墳の石棺は,小美玉市農村環境改善センター(茨城県小美玉市中台)の敷地内に移築・保存されている。
孝謙天皇宮入口付近
標石
鳥居
孝謙天皇宮
境内の様子
手水
説明板
隠滅した岩窟権現古墳(岩屋権現古墳)の所在地付近
孝謙天皇宮の比較的近くに建立されていた馬頭観世音
孝謙天皇宮の近くの道路から見た竹原神社境内地
この記事へのコメント