二戸市福岡:呑香稲荷神社(その1)
過日,呑香稲荷神社(岩手県二戸市福岡)を参拝した。祭神は,宇迦廼御霊命。神明社(天照大神)と八幡宮(誉田別命(応神天皇))を合祀し,配祀している。
呑香(とんこう)とは,アイヌ語で「日月のごとく照り輝く」を意味するとのこと。大日如来と習合しているのかもしれない。
呑香稲荷神社は,延暦20年(801年)に出羽国の大物忌神社を勧請して浄法寺村稲庭嶽に祀ったのが始まりという非常に古い神社とされている。古くは吉平大神蔵とも称した。
戦国時代には戦乱を逃れて幾度も遷座したが,天和2年(1682年)に現在の鎮座地に遷座し,翌年に呑香稲荷大明神の神号を受け,以後,旧南部藩の藩主から保護を受け,大いに栄えた。
境内社として,大作神社と九戸政実神社が鎮座しており,戦国時代頃~明治維新頃におけるこの地域の歴史が濃縮されて保存されているような独特の場所となっている。また,境内社として,泥土煮神社と相殿神社が鎮座している。
呑香稲荷神社に関しては,二戸市史編さん委員会編『二戸市史 第二巻 近世・近代・現代』(平成13年)の339~341頁と史編さん室編『二戸史料叢書 第四巻 続二戸歴史物語』(平成22年)の98~102頁に詳細な解説がある。
呑香稲荷神社の大祭に関しては,『二戸市史 第二巻 近世・近代・現代』の360~366頁に詳細な解説があり,その中には南部藩主の支出により挙行されてきた極めて大規模な神輿行列と神楽の様子を描いた呑香稲荷神社御祭礼図も収録されている。
加えて,長らく宮司家をつとめてきた小保内家と関係する貴重な史料は,史編さん室編『二戸史料叢書 第九巻 先人の足跡』(平成17年)の中に収録されている。
呑香稲荷神社の境内地は,九戸城松の丸跡の西側崖地を掘削して構築された階段状の場所であり,社殿背後地は九戸城松の丸跡となっている。呑香稲荷神社の参道脇には槻陰舎(会補社学舎)が保存されている。
境内を拝見した。ただし,手持ち時間の関係で,九戸城松の丸跡を詳細に見学することは断念した。
呑香稲荷神社鳥居
石段前の鳥居
手水
石段
拝殿正面
拝殿側面
本殿
左側の狛犬
右側の狛犬
神輿庫
神輿庫の鰐口
六角神輿の説明板
神楽殿
大御室(狐穴)の鳥居
大御室(泥土煮神社?)
(左手前は大御室奉納碑と地主神社)
金精様?
青面金剛明王
神木
社務所
呑香稲荷神社
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