成田市南羽鳥:熊野神社

過日,熊野神社(千葉県成田市南羽鳥)を参拝した。祭神は,伊邪那美命。速玉男命・事解男命を配祀している。

熊野神社に関しては,千葉縣印旛郡役所編『千葉縣印旛郡誌』(大正2年)の復刻版である『千葉県印旛郡誌 後篇』(臨川書店,昭和60年)の753頁に詳細な解説がある。

熊野神社は,延喜20年(920年),紀州熊野大社の御分霊を奉斎し,鈴木豊が神璽を奉じ,仮宮を建てて祀ったのが始まりの神社。近隣では最も古い創始の神社とのこと。
熊野神社の宮司家は,鈴木家。香取神社(千葉県成田市北羽鳥)の宮司を兼務しているようだ。
鎮座地名の豊住は,旧地名・豊住村から由来するものだろうと考えられるが,そもそも「豊住」とは,宮司家の祖・鈴木豊に由来するものではなかろうか。戦国時代に羽鳥周辺を支配した羽鳥氏は,南北朝時代における熊野神社の神官・鈴木豊教の子孫とされている。

『千葉県印旛郡誌 後篇』によれば,熊野神社には,境内社として,愛宕神社(火産霊命)と三社(速須佐之男命・大巳貴之命・保食之命)があることになっている。
熊野神社のホームページによれば,平成13年(2001年)に境内社として月見天満宮が新築されたとのこと。現地の標識には「創建元和二年(一六一七年)」と記されている。

熊野神社の境内地を含む台地上の土地は全域にわたり南羽鳥遺跡群と呼ばれる縄文時代,古墳時代,奈良・平安時代の貝塚,集落跡,城館跡の遺跡包蔵地となっている。城館跡は,熊野神社の鎮座地の比較的近くにあるが(現況・畑),宮司家の祖先と関係する館跡なのかどうかは不詳。
更に熊野神社の近隣には南羽鳥古墳群などの極めて多数の古代の遺跡がある。その中の南羽鳥正福寺1号墳からは有名なムササビ型埴輪が出土している。

これらの遺跡の存在とその広大な範囲から考えれば,北羽鳥及び南羽鳥地区は,古代から政治上・軍事上かなり大きな重要性をもつ統治の拠点だったと推定される。


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熊野神社入口付近の石段


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鳥居


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社号標


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参道


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拝殿


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本殿


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本殿の彫刻


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境内社(月見天満宮)の鳥居


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境内社(月見天満宮)の社殿


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境内社(愛宕神社?)


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境内社(三社?)


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金精様


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神木


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猿田彦大神(庚申塔?)


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青面金剛明王


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多数の神社名が刻まれた石柱


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手水



 成田豊住熊野神社

 印旛郡市文化財センター:ムササビ形埴輪

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