チュウゴクアミガサハゴロモ
昨日(2024年9月10日)の午後,自宅近くの里山を散策中,住宅地下の段丘崖の斜面に生えているネズミモチのような樹木の葉に茶色のハゴロモのような昆虫がとまっているのを見つけた。体長は1.5cm前後。
その場では同定できなかったので,とりあえず写真を撮っておいた。
その写真を基礎として調べてみた結果,この昆虫は,中国大陸原産であり,近年になって関東地方でも分布域を拡大しているチュウゴクアミガサハゴロモ(Pochazia shantungensis Chou & Lu (Syn. Ricania shantungensis Chou & Lu; Ricanula sublimata Jacobi))だということが判明した。
なお,分類に関しては,Pochazia属とするかRicania属とするかによって見解が分かれているようだ。
しかし,EPPOとGBIFでは,Pochazia属として扱っているので,このブログ記事でもPochazia属として扱うことにする。
ちなみに,日本国内に従来から分布していたアミガサハゴロモの学名は「Pochazia albomaculata Uhler」となっているので,日本国の関連分類学会ではPochazia属との見解を採用していることになる。
この点に関し,日本語で書かれた論文の中では,DNA分析を基礎とするチュウゴクアミガサハゴロモの分類研究の結果を見つけられなかった。存在しないのだろうと思う。
私が住む茨城県内において,これまでに報告されたことがあったのかどうかは知らないのだが,インターネット上で検索可能な情報の範囲内では見つからないので,もしかすると,このブログ記事が茨城県における初報告ということになるのかもしれない。
一般に,チュウゴクアミガサハゴロモは,様々な種類の農作物や樹木に対して甚大な被害を発生させる害虫として知られている。
それにしても,このところ,新来の外来種と遭遇する機会が増えたように思う。
このチュウゴクアミガサハゴロモは蝋のような物質でできた白い綿のようなものを身にまとっているとのことなので,今後は,そのような白い綿のようなものの集合が観られる枝や葉がないかどうかも十分に注意しながら散策しようと思う。
[追記:2024年9月11日16:15]
ちょっと気になり,本日の午後,同じ里山を再訪した。
路傍に生えている桑と思われる樹木の若木に白い綿のようなものがついていた。チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫であり,この里山では桑と思われる樹木の若木で繁殖しているようだということを確認できた。
よく見ると純白に近い(やや小さい)個体と薄茶色が混じった(やや大きな)個体とが混じっている。たぶん,小さい方が2齢~3齢の幼虫,大きい方が3齢~4齢の幼虫なのではないかと推定される。
成虫がいないかと注意深く探してみたところ,やはり桑と思われる樹木の若木の葉の裏に成虫が隠れているのを見つけることができた。
岐阜聖徳学園大学教育学部川上研究室:アミガサハゴロモ属の外来種 Pochazia shantungensis
昆虫エクスプローラ:チュウゴクアミガサハゴロモ
昆虫エクスプローラ:アミガサハゴロモ
EPPO Global Database: Pochazia shantungensis(POCZSH)
GBIF: Pochazia shantungensis (Chou & Lu, 1977)
First confirmed report of Pochazia shantungensis in Japan, EPPO Reporting Service no. 05-2024
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