香取市イ:伊能忠敬旧宅など

過日,伊能忠敬旧宅(千葉県香取市イ)を訪問した。この旧宅は,川岸通りの古い町並みを保存している伝統的建造物群保存地区の中にある。

伊能忠敬は,私が尊敬する人物の一人であり,以前,その墓所のある真言宗豊山派・妙光山蓮華院観福寺(千葉県香取市牧野)を訪問し,参拝したことがある。旧宅を訪問するのは今回が初めて。

土間の部分などを歩けるようになっており,室内の様子を見学できる。質実剛健な屋敷というような印象を受けた。

家屋それ自体としては,丁寧に管理されており,展示内容もわかりやすく,重要な文化財(歴史的建物)を活用した非常に良い文化施設だと思う。


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伊能忠敬旧宅入口付近


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店舗と帳場


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書院


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水路


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氏神


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家訓


伊能忠敬旧宅を訪問・見学した後,すぐ近くにある伊能忠敬記念館も訪問し,展示物等を見学した。

展示物の写真撮影は禁止となっているので写真はないのだが,展示物の中で現在の日本列島の地図と伊能図とを重ね合わせた説明パネルがあり,北海道のあたりを除いては現代の地図とほとんど同じであるという趣旨の説明があった。
北海道に関しては,伊能忠敬ではなく間宮林蔵が作成した資料を基礎とする部分が多いので,測量方法に微細な差異があり,そのことが図面に反映されているということはあると思う。

あくまでも一般論として,現代のプレートテクトニクスの理論を基礎とすれば,東北地方北部~北海道が現在と同じ位置に所在していたと考える方が異常であり,合理的な修正を加え,現在とは異なる所在地を推定した上で比較を行うのでなければ公平ではない。極論すれば,伊能図に示されたところに北海道が所在していた可能性は絶無とは言えない。

なにしろ,東日本大地震の際にも実際に示されたとおり,本州の所在地も東日本大地震の前後で大きく歪んでしまっている。それゆえ,過去の所在地を推定するためには相対的な相互補正というややこしいことを加えなければならない。
更に,安政大地震以前の地学上及び地球物理学上の精密な情報に関しては本当は誰も知らないのだから,安政大地震以前の北海道の位置が現在と同じだと断定できる科学者は,理論上,ただの一人も存在し得ないことになる。

大地震によって地殻が大規模に水平移動するという事実を我々は目撃してきたのだが,若い世代の中にはそのことを知らず,「今も昔も同じだろう」と思い込んでいるだけの人が少なくないかもしれない。

一般に,「動かざること大地の如く」は根本から間違っている。無知蒙昧との非難を免れない。「激動し続けること大地の如く」が正しい。

だから,この説明用パネルに関しては再検討の余地が大きい。



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