東京都文京区大塚:護国寺境内の庚申塔

過日,真言宗豊山派・神齢山悉地院大本山護国寺(東京都文京区大塚)を訪問した。

護国寺境内にある薬師堂の裏手には,石造の大きな庚申塔がある。この庚申塔は,極めて独創的であり,凝りに凝った猿の彫刻で装飾されており,江戸時代を代表する石造芸術作品の一つだと言える極めて優れた文化財であり,天明5年(1785年)に音羽講中によって奉納されたもの。一般に「音羽講中庚申塔」と呼ばれているようだ。

この庚申塔が建立されている場所には,かつて,真言宗豊山派・筑波山中禅寺知足院(茨城県つくば市筑波)の堂宇が神仏分離により(仁王門や神橋などを除き)徹底的に破壊された際,護国寺が大金を支払って買い取り,引き取った金銅製仏像等と共に護国寺境内に移転された金銅製瑜祇塔が建立されていた。
この金銅製瑜祇塔は,筑波山にあったときは現在の筑波山神社拝殿裏手の少し高くなった段状の場所(現況は榊を育成するための神域であり立入禁止の場所)に建立されていたようだ。

護国寺に移転された後の金銅製瑜祇塔は,護国寺では多宝塔と呼ばれており,現在では護国寺墓地内にある音羽陸軍埋葬地の区画内に移転されている。

考えようによっては,何とも皮肉な結果となっているとも理解され得る。


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庚申塔所在地付近の様子


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庚申塔


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同上


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庚申塔の説明板


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護国寺本堂(観音堂)



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