キタヒメツノカメムシの若齢幼虫

2024年7月29日のことだが,戦場ヶ原(栃木県日光市中宮祠)を訪問した。

赤沼駐車場から出発する低公害バス(有料・大人500円)に乗車して移動した上で,小田代原~千手ヶ浜方面を中心に散策し,いま見られる動植物を観察した。

小田代原の木道付近を散策中,木道の手すりにカメムシの幼虫がいるのを見つけた。とても小さい。

その場では全く同定できなかったので,とりあえず写真を撮っておいた。

後日,調べてみた。

インターネット上で写真が出ていないか探してみたのだが,なかなか見つからず,昆虫エクスプローラのサイトでやっと一致する写真を見つけることができた。それは,キタヒメツノカメムシ(Elasmucha fieberi)の幼虫の写真だった。

念のため,石川忠・高井幹夫・安永智秀『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』(株式会社全国農村教育協会,2012年)を購入し,調べてみた。キタヒメツノカメムシの終齢幼虫の写真は,同書の図版127(486c)にある。その写真によれば,終齢幼虫の体色は,緑色。同書には,キタヒメツノカメムシの若齢幼虫の写真は収録されていない。
しかし,近縁種であるクロヒメツノカメムシ(Elasmucha signoreti)の終齢幼虫と4齢幼虫の写真は収録されているので,比較検討してみた。その結果,たぶんキタヒメツノカメムシの3齢幼虫または4齢幼虫なのだろうと見当をつけた。
そして,同書514頁の解説によれば,キタヒメツノカメムシの母虫は,3齢幼虫まで面倒を見るとのことなので,単独で行動するのは4齢幼虫以降ということになる。
結論として,私が観た個体は,キタヒメツノカメムシの4齢幼虫なのではないかと考えられる。

あまり良い写真とは言えないが,ネット上で見つけることのできる写真に関する限り,キタヒメツノカメムシの幼虫の写真は珍しいのかもしれない・・・と思い,このブログ記事を書くことにした。


Elasmucha fieberi



 昆虫エクスプローラ:カメムシの幼虫図鑑 ツノカメムシ科(3種類)



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