印西市滝:瀧水寺
過日,天台宗・雲林山瀧水寺(千葉県印西市滝)を参拝した。本尊は,薬師如来。
瀧水寺は,印西大師第六十一番札所となっている。
千葉縣印旛郡役所編『千葉縣印旛郡誌』(大正2年)の復刻版である『千葉県印旛郡誌 後篇』(臨川書店,昭和60年)の625~627頁には,瀧水寺に関する詳細な解説がある。
その解説によると,瀧水寺は,天台宗比叡山派の寺院であり,比叡山延暦寺直末の寺院とのこと。また,本尊の薬師如来像は,第五十四代仁明天皇の御守本尊であり,慈覺大師の作とのこと。
瀧水寺の創始等に関し,『千葉縣印旛郡誌』の626頁は,『利根川圖誌』に云うとして,「瀧村に在り 本尊薬師如来 仁明天皇の御願所 承和年中の建立 門の二王運慶作という」と引用している。元の史料は『利根川圖誌』ということになるが,同書は,その著者である赤松宗旦が安政2年頃までに自ら調査して得た知見をまとめた書籍なので,当時の瀧水寺の住職等から得た情報に基づく記述なのだろうと推測される。
ちなみに,赤松宗旦の墓所は,曹洞宗・瑞龍山来見寺(茨城県北相馬郡利根町布川)に残されているそうなのだが,私が来見寺を訪問した際にはそのことを知らなかったので,墓所の存否を確認しなかった。残念。
瀧水寺に安置されている薬師如来立像と木造金剛力士像は,千葉県の文化財として指定されている。
瀧水寺の境内にある鐘楼の建武五年在銘梵鐘は,印西市の文化財として指定されている。
瀧水寺の境内地の北側には瀧水寺裏遺跡と呼ばれる旧石器時代,縄文時代,弥生時代,古墳時代,奈良時代,中世,近世の複合遺跡の包蔵地がある。同遺跡の北端付近には滝3号墳と呼ばれる古墳(方墳)があったが,現在では消滅している。これらの遺跡が存在することから推測すると,瀧水寺の境内地及びその周辺は,古代から,国家統治の上でかなり大きな重要性をもつ場所だった可能性があると考えられる。
瀧水寺入口付近
本堂
宝篋塔(智周墓)など
仁王門
仁王門の彫刻(一部)
金剛力士像
同上
木造金剛力士立像の説明板
醫王殿・薬師堂
醫王殿・薬師堂側面
醫王殿・薬師堂の天井画(一部)
醫王殿・薬師堂の彫刻(一部)
瀧水寺薬師堂陳地区記念碑
鐘楼
梵鐘
梵鐘の説明板
十九夜社(十九夜供養塔)・子安社(子安観音)
十九夜社碑
大師堂(印西大師第六十一番)
印西大師六十一番瀧大師新築記念碑
南無大師遍照金剛
境内の巨樹
小林一茶句碑「如意輪も目ざまし玉へ郭公」
(揮毫・夏目漱石)
瀧水寺の境内で飼育されている白孔雀など
印西市:薬師如来立像[市指定有形文化財(彫刻)]
印西市:木造金剛力士像[県指定有形文化財(彫刻)]
印西市:梵鐘・建武五年在銘(1口)[県指定有形文化財(工芸品)]
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