小田代原のヤマクルマバナ

2024年8月2日のことだが,戦場ヶ原(栃木県日光市中宮祠)を訪問した。

赤沼駐車場から出発して自然観察路を青木橋経由で小田代原の休憩所まで歩き,いま観られる動植物を観察した後,小田代原の休憩所から低公害バス(有料・大人500円)に乗車して赤沼駐車場に戻った。

小田代原の木道脇で,クルマバナClinopodium coreanum subsp. coreanum)のような植物を観た。ただし,茎の毛が少ないので,クルマバナではない。
やや大きな植物なので,トウバナ(Clinopodium gracile)ではない。
全体の特徴から,イヌトウバナ(Clinopodium micranthum)でもオオクルマバナ(Clinopodium coreanum subsp. stoloniferum)でもない。
茎に複数の花序があるので,ヤマトウバナ(Clinopodium multicaule)でもヒロハヤマトウバナ(Clinopodium multicaule var. latifolium)でもない。
葉の裏や萼筒に短毛が多いので,ミヤマトウバナ(Clinopodium micranthum var. sachalinense)ではない。

類似種と比較検討しながら考察した結果,たぶん,ヤマクルマバナ(Clinopodium chinense subsp. glabrescens (Syn. Clinopodium chinense var. shibetchense))なのだろうと判断した。
ただし,そもそも従来の分類基準となっている識別点に疑問が残るので,確実ではない。

一般に,ヒロハヤマトウバナとして紹介されている写真の中にはヤマクルマバナと思われる写真が含まれていることがあるように思う。過去に採取された標本等にも再検討の必要性があるものが含まれているかもしれない。

シソ科トウバナ属(Clinopodium)の植物の分類にはまだ混乱があるように思われるので,DNA分析を踏まえ,今後,更に整理されることになるのだろう。


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 三河の植物観察:ヤマクルマバナ 山車花



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