アメリカホドの葉の上のホソヘリカメムシ
2024年8月1日のことだが,つくば植物園(茨城県つくば市天久保)を訪問し,約2時間ほど園内を散策した。
野菜などを植栽・展示している区画を散策中,アピオスとも呼ばれるアメリカホド(Apios americana)の葉の上にホソヘリカメムシ(Riptortus pedestris)がいるのを見つけ,その写真を撮った。
一般に,ホソヘリカメムシは,その幼体がアリを擬態しているということで知られており,生態それ自体が非常に興味深いのだが,他方において,マメ科の農作物に被害を与える害虫としても知られている。しかも,時間が経つにつれて抗農薬耐性を獲得することが知られていた。最近になって,共生菌とのかかわりあいの中でそのような抗農薬耐性を獲得するというメカニズムが解明され,注目されている。
共生菌との共生を断ち切れば抗農薬耐性を獲得できなくなるだろうということは誰でも考えられることだ。しかし,そのために細菌等の共生菌を殺すための更に強力な化学物質が開発されるかもしれない。そのような化学物質が人間の生体内に無数に存在する共生菌に対してどのような影響を与えるかは未知数だ。また,化学物質ではなく,問題となる細菌に寄生して殺してしまう生物化学兵器のような生物農薬が開発されるかもしれない。
SF的な最悪ストーリーを想定するとすれば,日本の某企業がそのような生物農薬を開発し,農業の現場で使用したために全人類が絶滅することになる・・・というようなことは考えられ得るが,あまりにも陳腐過ぎるストーリーなので,誰もそのような内容の小説を書いたり映画作品をつくったりはしないだろうと予想する。
人間の生体内も複雑な共生関係の連鎖で構築されており,純粋無垢ではない。
もし人間が純粋無垢(=完全無菌状態)だとすれば,たちまち様々な微生物に生体組織を食われてしまい,死んでしまうことが避けられない。躍起になって無菌状態になろうとする強迫神経症に罹患しているような人がいないわけではないが,そのようなことを続けていても良い結果を得られるはずがない。
人間は,多種多様な微生物と常に共生しており,純粋無垢ではなく,その意味で生体構成要素全体が汚濁しているからこそ生きていられるのだ。
アメリカホド(Apios americana)の花
ホソヘリカメムシ(Riptortus pedestris)
同上
同上
昆虫エクスプローラ:ホソヘリカメムシ
虫ナビ:ホソヘリカメムシ
産総研:共生細菌のちからで害虫が農薬に強くなる助け合いの仕組みを解明
国立科学博物館筑波実験植物園(つくば植物園)
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