オオセイボウ

2024年8月1日のことだが,つくば植物園(茨城県つくば市天久保)を訪問し,約2時間ほど園内を散策した。

温室前のシソ科のハーブを植栽してある区画で,青いメタリックのとても美しい小さなハチを観た。

オオセイボウ(Stilbum cyanurum)だと思う。

こんなに身近なところでオオセイボウと遭遇するとは,全く予期していなかった。驚いた。

なお,普通はトリミングした上でブログに写真をアップロードするのだろうが,私は,原則としてトリミングしない主義なので,トリミングしていない。


Stilbum cyanurum


Stilbum cyanurum


オオセイボウの幼虫は,スズバチの仲間の巣に卵を産みつけるのだそうだ。

スズバチの仲間は,捕獲したイモムシやクモなどを巣の中に入れ,麻酔で動けない状態にした上で卵を産みつける。スズバチの仲間はそのイモムシやクモなどを生きたまま食べて成長する。
他方,その巣に産みつけられたオオセイボウの卵から生まれた幼虫は,スズバチの仲間が苦心して捕獲した小動物を横取りして食べ,成長する。

つくば植物園の園内ではスズバチの仲間が非常に多数棲息している。その結果,セイボウが繁殖可能な環境となっているのだろう。

オオセイボウは,その美しい姿には反して,かなり姑息なやり方で生存し続けようとする昆虫種であることになる。人間社会にもその手の輩がいっぱい・・・かもしれない。

非公開の重要なデータベースシステムに巧妙にマルウェアを仕組んでおき,本来の管理者が苦心して蓄積した貴重なデータを無権限で外部に流出させるサイバー犯罪者と似ているかもしれない。

美しい者ほど実は悪い奴という意味で「巧言令色鮮矣仁」の類であるかもしれないし,また,巣の一部を貸したはずなのに中身の最も大事な部分を奪われてしまっているという意味で「庇を貸して母屋を取られる」の類であるかもしれない(苦笑)

いずれにしても,外貌の秀麗さに囚われていると,知らない間に裏切られ大失敗することがあるので,常に用心が欠かせない。



 昆虫エクスプローラ:オオセイボウ

 国立科学博物館筑波実験植物園(つくば植物園)



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