戦場ヶ原のサルの群れ
本日(2024年7月5日),戦場ヶ原(栃木県日光市中宮祠)を訪問した。
戦場ヶ原を一周するコースを歩き,いま見られる動植物を観察した。
今日の訪問は,本来の仕事である調査を兼ねていたのだが,本来の仕事上の目的を達成することに資する重要な出来事とも遭遇した。
湯川に沿った木道を歩き,赤沼方面に向かっていたところ,うしろからサルの群れが追ってくるような様子が見えた。
たぶん,野生のニホンザル(Macaca fuscata)だろうと思う。合計10頭ほどで,その中の3頭はまだ子供のサルのように見える。
追いつかれないように速足で歩き,ときどき後方を確認しつつ写真を撮ったのだが,たぶん50mくらいの距離を後ろから追ってきていたように見えた。
無論,たまたま同じ方向に向かって歩いていただけであり,私を追っていたわけでないということも十分に考えられる。写真をよく見ると,木道脇にあるミヤマウグイスカグラ(Lonicera gracilipes var. glandulosa)ではないかと推定される低木の果実を食べている個体が写っている。
ここから先は想像というか憶測に過ぎないが,あくまでも一般論として,誰かが食べ物を投げたままにしたりしていると,餌付けしたのと同じような結果が発生し得る。
彼らは,人間から何か食べ物をもらえるのではないか,または,人間を脅してカバンを奪えば食べ物を見つけられるのではないかというようなことを学習してしまう可能性はあると考えられる。
自然界の野生動物を餌付けすることは無論禁止だが,食べ残したおにぎりや菓子などを投棄することも厳禁だ。
なお,野生動物は,爪や歯・牙などに猛毒の微生物をもっていることがあり,例えば,野生動物経由で狂犬病という恐ろしい病気に感染する危険性はある。それゆえ,野生動物のリスクについては正確な理解をもつべきだと考える。
一般に,ニホンザルのような野生動物の頭脳は一般に理解されているよりもずっと優秀であり,子供や老人のような弱い者と容易に反撃可能な強壮な者や武器となる頑健な杖などをもっている者とを明確に見分けることができ,もし食べ物を奪うために脅しにかかろうとするのであれば,当然,弱い者を標的とする。
それゆえ,戦場ヶ原だけではなく,自然の散策路等で見学旅行することを計画している学校や教員は,そのようなリスクも検討した上で,適切な対応策を講じつつそのような見学旅行を実施すべきだろうと思う。
サルの群れ
同上
同上
同上
ミヤマウグイスカグラと思われる低木の果実
(Lonicera gracilipes var. glandulosa)
私がまだ若い頃,デズモンド・モリス(Desmond Morris)の『裸のサル』が刊行され,注目を集めた。それを契機として,ちょっとした動物行動学ブームのようなものも起きた。現在ではこの書籍に興味をもつ人がどれだけいるのかわからない。
国立感染症研究所:狂犬病
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