つくば市筑波:愛宕山神社と楠木正勝の墓

過日,愛宕山神社(茨城県つくば市筑波)を参拝した。

現在の筑波山神社の末社という扱いになっている。
しかし,明治時代に筑波山神社となる前の中禅寺知足院だった当時から現在の愛宕神社境内地付近には愛宕神社が存在したことが江戸時代の絵図である『常陸国筑波山下画図(常陸國筑波山下畫圖)』によって証明できるので,元は中禅寺知足院の境内社としての愛宕社だったと断定できる。
この絵図によれば,神仏分離により中禅寺知足院の主要な堂宇が破壊される以前には愛宕社と日枝神社・春日神社との間付近に中禅寺知足院の宝蔵があったようだ。

愛宕山神社の建立時期は不明なのだが,筑波町史編纂専門委員会編『筑波町史 上巻』(平成元年)の639~642頁の解説によると,享保期以降,諸堂社の荒廃が目立つようになったため,何度にもわたって修繕や再築が行われたようであり,無論,愛宕山神社の社殿等もその中に含まれていたと考えられる。
他方,現在の愛宕山神社の社殿建物の構成物それ自体を見ると,比較的新しい木材(現代の一般的な建材)を用いているので,現代になってから再建された社殿なのではないかと推測される。

なお,愛宕山神社境内地周辺は谷となっており,常に崩落の危険性のある場所なので,厳密には,江戸時代における愛宕社の境内地と現在の愛宕山神社の境内地とが完全に一致しているわけではないかもしれない。

愛宕山神社のすぐ脇には楠木正勝の墓がある。江戸時代の絵図には何も書かれていないので,比較的最近に他所から移転・復元されたものであるか,または,楠木正勝を偲ぶ供養塔の一種なのではないかと思う。


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鳥居と石段


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愛宕山神社の社殿


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境内末社?


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楠木正勝の墓


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楠木正勝の墓の説明板



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