エゾオオバコのようなツボミオオバコ?
昨日のことだが,自宅近くを散策中,ツボミオオバコ(Plantago virginica)と似ているけれども外形的形質が少し異なるオオバコの仲間が大量に生えており,しかも満開状態になっているのを見つけた。葉や茎には全体に毛が密生しており,そのために白っぽく見える。
明らかに,セイヨウオオバコ(Plantago major)やオオバコ(Plantago asiatica)とは異なる。
エゾオオバコ(Plantago camtschatica)に似ている。
エゾオオバコは,茨城県においては絶滅危惧種の扱い(2012年選定レッドリスト)になっており,これまで,ひたちなか市の海浜で発見されただけということになっている。もし私が見た植物がエゾオオバコだとすれば,茨城県のレッドリストを改訂しなければならない。
なお,一般に,エゾオオバコの花冠の葯は白色とされており,ネット上で検索可能な画像の大半がそうなっている。しかし,私が見たものは,全ての個体において,花冠の葯が赤紫色だった。
それゆえ,厳密にはエゾオオバコの変種または品種であるか,または,エゾオオバコとセイヨウオオバコとの自然交雑である可能性もしくはツボミオオバコとセイヨウオオバコとの交雑である可能性を否定し切れない。無論,遺伝子組替実験により生成された何らかの人工細胞塊(ミュータント)の実験室外逸出の可能性が皆無であるわけではない。
一般に,セイヨウオオバコ(Plantago major)の花冠の葯の色は赤紫色。ツボミオオバコ(Plantago virginica)の花冠の葯の色は白色。
他の類似種の可能性も一応検討してみた。花期の点を一応措くとしても,アメリカオオバコ(Plantago aristata)及びムジナオオバコ(Plantago depressa)とは明らかに異なる。
これまで,牛久自然観察の森の周辺などで今回見た植物とほぼ同じ外形的形質をもつ植物を何度も見てきた。そして,それらの植物をツボミオオバコとして同定してきた。
しかし,今回改めて観察してみて,どうも違うのではないかという疑問をもつことになった。特に,標準的な花弁の形状とは異なるという点,花冠の葯の色が赤紫色である点,稔性花が大部分である点は無視できない。
精密に分類しようとすれば,DNA分析が不可欠となる。私の手には負えない。
松江の花図鑑:ツボミオオバコ(蕾大葉子)
三河の植物観察:ツボミオオバコ 蕾大葉子
Minnesota Wildflower: Plantago virginica (Dwarf Plantain)
ツボミオオバコの不稔花・稔性花
この記事へのコメント