高崎市吉井町:吉井町75号墳と吉井町76号墳など
2023年1月中旬のことだが,吉井町82号墳(群馬県高崎市吉井町本郷)の所在地付近を見学した。
吉井町82号墳は,吉井町81号墳のすぐ北側にあり,直径18尺・高さ6尺の円墳とされている。その所在地付近には小さな塚の残骸のようなものがあり,それが吉井町82号墳の墳丘の残存物だとされているのだが,現況ではよくわからない。
周辺の整地状態などから推測して,既に隠滅している可能性が高いというような印象を受けた。
東の方から見た吉井町82号墳~吉井町86号墳所在地付近
(吉井町82号墳所在地は写真左手の少し高くなった土地付近)
西の方から見た吉井町82号墳所在地付近
その吉井町82号墳所在地の東約50mくらいのところに石室が開口している立派な円墳のようなものがある。しかし,この円墳のようなものに関しては,「マッピングぐんま」上でも『群馬県古墳総覧2017』の384頁にある拡大図96の上でも古墳所在地とはされていない。古墳の愛好家の間でも謎の古墳のようなものとされてきた。
これは,古墳そのものではなく,隠滅した吉井町79号墳(径34尺・高さ10尺の円墳)の移築復元物のようなものではないかと思う。ただし,土地所有者の方から直接に説明を受けたわけではないので,あくまでも素人の個人的な推測の域を出ず,確実ではない。
この古墳のように見えるものの所在地のすぐ東側に円墳の石室残骸のようなものがある。「マッピングぐんま」上でも『群馬県古墳総覧2017』の384頁にある拡大図96の上でも吉井町76号墳(金比羅塚)とされているので,たぶんそれに該当するのだろうと判断した。
吉井町76号墳(金比羅塚)は,現況で径 6.0m×5.0m・高さ1.0m,記録上では径44尺・高さ8尺の円墳とされている。
南の方から見た古墳様のもの
古墳様のものの石室のような部分の内部の様子
吉井町76号墳(金比羅塚)
この古墳のように見えるものがある場所の南約20mほどの場所が隠滅した吉井町78号墳(径45尺・高さ9尺の円墳)の所在地となっている。
隠滅古墳なのだが,その所在地付近に塚状のものがあった。マッピングぐんまの備考欄には「マウンド有り。13.0×9.0×2.0」との記載があるが,墳丘の残存物だとは書かれていない。古墳由来の石材を積み重ねたもののようにも見えるのだが,よくわからない。
吉井町78号墳所在地付近の塚状のもの
吉井町76号墳(金比羅塚)の所在地の南東の方に位置する段丘縁付近に比較的大きな塚のようなものがある。
現地で見学した時点では,吉井町77号墳(直径34尺・高さ7尺の円墳)に該当するのかもしれないとも思った。しかし,マッピングぐんまでは,この大きな塚のようなものを吉井町75号墳(御伊勢塚)として表示する一方,吉井町77号墳に関しては,全く残されていない古墳として記載されている。
吉井町75号墳(御伊勢塚)は,径102尺・高さ13尺の円墳とされている。Googleの航空写真で見ると,完全な円形ではなく,墳丘裾の一部(北東側約3分の1)が既に失われた後の残存部分であるように見える。その部分の消滅の原因は,段丘崖の自然崩壊と道路建設のための掘削だろうと推定される。現況がそのようなものであるとはいえ,元はかなり大きな円墳だったのだろうと推定される。
北西の方から見た吉井町75号墳(御伊勢塚)
同上
東側段丘崖下の道路から見た吉井町75号墳(御伊勢塚)
吉井町77号墳の所在地付近?
(マッピングぐんま上で所在地として表示される場所付近)
埼群古墳館別館:高崎市吉井町第79_76号墳
南の群馬古墳めぐり:群馬県鏑川流域のマイナー古墳③
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