牛久市城中町:観光アヤメ園とその周辺で見た花など(その1)
2023年9月14日に観光アヤメ園(茨城県牛久市城中町)を訪問してその周辺を散策し,現在咲いている花や虫などを観察した。
観光アヤメ園それ自体は,特に手入れが行われているようには見えず,ヨシなどの大型の植物がどんどん繁茂している状態だった。このまま放置された状態が続くと,来年には,せっかく残っていたわずかなハナショウブもほぼ全部消滅しているのではないだろうか?
同じことは希少な野生植物についても言える。日本の湿地植物の多くは縄文時代~弥生時代に渡来人と一緒にやってきた植物の子孫(+その後の自然交雑や人工交配等により形成された多種多様な雑種の子孫)であり,稲作や畑作のための耕地に寄生して生育するものが非常に多い。
それらの生物の多くが棲む環境は,人間による干渉が完全になくなると,自然環境の遷移に関する一般法則に従い,最終的には極相の状態となるので,その極相の環境に適合していない限り,必ず死滅する。そして,その極相まで至った自然環境の中においては,極めて貧弱・単調な生態系・生物層しか存在しなくなる。
これを観光アヤメ園について検討してみると,まだ遷移の途中の状態なので何とも言えない面はあるが,ヨシだけの単一の極相のような状態に向かって遷移が持続していると見られることから,このままでは,いずれ小型の野生植物の大半が消滅してしまうことになる可能性が高い。そのようにして消滅してしまう可能性のある植物種の中には,絶滅危惧に直面している希少種も含まれている。もしかすると既に消滅してしまっているかもしれない。
一般に,アヤメ園は,(除草剤を使用しない限り)水田と似た環境なので,野生の水田植物が育ちやすく,そのために稀少な野生植物も最後の生育場所とすることが珍しくない。だから,アヤメ園の手入れをしっかりとやって良い状態を維持することは,単に観光資源として良好な状態を維持しているというだけではなく,国際的に認められており,日本国も関連条約に批准して関連法令を制定している「種の保存」という観点からも大きな意義のあることなのだ。
もっとも,「お金」のことしか頭にない人には全く関係のないことかもしれない。
ところで,先ごろ行われた牛久市長選挙においては,観光開発と自然環境の保護を主張し,または,選挙公約とする候補者は皆無だった。
ただし,このようなことは牛久市に限ったことではないかもしれない。
一般に,日本国においては,政治家になるための必須の要素として,高度な知性も豊富な教養も深い洞察力も適切な行政手腕も要求されていない。
職業政治家と牛久沼の河童のどちらが優れているのかは,誰も知らない。
駐車場の方から見た観光アヤメ園の様子
セイバンモロコシ(Sorghum halepense)
ジュズダマ(Coix lacryma-jobi)
同上
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マルバルコウソウ(Ipomoea coccinea)
ツユクサ(Commelina communis)
ヒロハホウキギク?
(Symphyotrichum subulatum var. parviflorum)
同上
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ヒレタノゴボウ(Ludwigia decurrens)
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三日月橋生涯学習センター方面の景色
トノサマバッタ(Locusta migratoria)
同上
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ヤハズソウ(Lespedeza striata)
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モンキチョウ(Colias erate)
ハネナガイナゴ(Oxya japonica)
カゼクサ(Pennisetum alopecuroides)
同上
ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
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ニラ(Allium tuberosum)
牛久市観光協会:牛久市観光アヤメ園
侵入生物データベース:セイバンモロコシ
侵入生物データベース:マルバルコウソウ
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