千葉県印旛郡栄町:房総のむら・風土記の丘資料館~水生植物園とその周辺で見た動植物
2023年8月13日のことだが,房総のむら(千葉県成田市大竹~千葉県印旛郡栄町龍角寺)にある風土記の丘資料館を再訪した際,その周辺の動植物も少しだけ観察した。
晴れときどき雨という天候なので,あまり状態は良くなかったのだが,それでも何種類かの動植物を見ることができた。
「古墳のひろば」という区画から水生植物園の方に向かった。水生植物園は,龍角寺70号墳のすぐ北側の斜面を少し下ったところにある小さな谷のような場所(池とその周辺)に設置されている。古代においては何らかの宗教的な意味をもつ場所または古代のゴミ捨て場だった可能性があり,池の部分を発掘調査すれば泥土の層の下に何か見つかるかもしれないと思う。
水生植物園の区画は,あまり手入れが行われておらず,マムシと遭遇するリスクが大だと判断したので,結局,四阿がある場所まで行かず,遊歩道から眺めて終わりということにした。
『玉造小町子壮衰書』がふと脳裡をよぎった。
古墳のひろばと龍角寺70号墳
オオシオカラトンボのメス
(Orthetrum triangulare melania)
クルマバッタモドキ(Oedaleus infernalis)
ヌマガエル(Fejervarya kawamurai)
同上
ヒメハラナガツチバチ(Campsomeris annulata)
ヤブガラシ(Causonis japonica)
ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
ツリガネニンジン
(Adenophora triphylla var. japonica)
アキカラマツ
(Thalictrum minus var. hypoleucum)
つる植物の説明板
オニドコロ(Dioscorea tokoro)
同上
同上
ヤマノイモ(Dioscorea japonica)
同上
エビヅル(Vitis ficifolia)
同上
同上
水生植物園
遊歩道
ネコハギ(Lespedeza pilosa)
同上
龍角寺70号墳
房総のむらの中にある「万葉植物園」の区画も少しだけ見学した。万葉集にある植物を集めた植物園としては,既に崩壊しているように見える。何もない。
房総のむらにある「万葉植物園」だけではなく,一般に,日本中の万葉植物園の多くが同様に崩壊しているように見える。
たぶん,詩歌を愛する人の数が減少しており,特に若い世代では過去の詩歌を読んでも何の感銘も受けなくなってしまっていることが最大の原因だろうと考える。
その結果,万葉植物園の需要がなくなってしまうだけではなく,ボランティアとして植物園の維持・管理に協力しようとする人もいなくなってしまう。
いずれ古典的な形式による和歌や俳句の伝統それ自体もなくなってしまうのではなかろうか。
それでも和歌や俳句はまだよいほうだろうと思う。日本では中国古代の漢詩を理解する人がかなり少なくなっており,古典的な漢籍の読破に挑戦する人は更に少ない。
しかし,日本国の古代における漢詩の集大成である『懐風藻』を(古代中国の漢詩や薬方と比較検討しながら)読み解くことなく,古代に栽培されていた草木を古代人の日本人がどのように感じたのかを推理することは非常に難しいことだと思う。『万葉集』を読むだけでは足りない。
無教養でも機械的な発掘作業は可能かもしれないが,無教養な者が考古学上または歴史学上の考察・検討や意味付けを行うことは不可能だ。
万葉植物園
同上
キジバト(Streptopelia orientalis)
侵入生物データベース:ヌマガエル
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