笠間市南小泉:善九郎古墳群

過日,善九郎古墳群(茨城県笠間市南小泉)を構成する残存古墳中の最も大きな古墳と思われる塚状地形を見学した。

友部町史編さん委員会編『友部町史』(平成2年)の93頁によれば,善九郎古墳群は,宍戸ヒルズカントリークラブ(茨城県笠間市南小泉)及びその隣接地に分布する古墳群であり,ゴルフ場造成の際に数基が失われたが,ゴルフ場レストハウス脇に高塚が1基,道路を隔てた南側民有地内に4基が残されているとのこと。
『友部町史』には,最も大きな古墳として,道路脇に東西19m×南北16m・高さ2.79mの古墳があり,墳丘の南側に石室の一部が露出している旨が記されている。

善九郎古墳群所在地内では発掘調査が実施された場所がある。
その調査結果は,株式会社宍戸国際ゴルフ倶楽部・大成エンジニアリング株式会社『善九郎古墳群-「宍戸ヒルズカントリークラブ道路工事」に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書-』(2004年)にまとめられている。この発掘調査が実施された場所からは古墳の痕跡は検出されておらず,縄文時代の住居址と土器等が発見された。
発掘地点の現況は舗装道路となっている。

現在では『友部町史』が編纂された当時とは地形が変わってしまっており,該当地の東側部分の大部分がゴルフ場の駐車場敷地となっているのだが,その駐車場の中に比較的大きな塚状地形があり,たぶん,これが残存古墳に該当するのだろうと考えた。
この塚状地形の所在地は,上記の発掘地点のすぐ東側に位置していることになる。『友部町史』の記載から判断すると「道路脇」にある最も大きな古墳に該当するということになりそうだ。
ただし,その場所に石室らしきものは見当たらず,主体部と推定される場所には大きな窪みがあった。

『友部町史』によれば,道路脇の古墳(最も大きな古墳)のすぐ西側に栗林があり,3基の座布団状の低い古墳があったようだ。現況は完全に削平され,更地及び道路となっている。
その3基の小古墳が存在したという場所を更地にする際に発掘調査が実施されたのか否かに関しては不詳。

クラブハウスの近くには大きな石材が置かれていた。もしかすると古墳由来の石材なのではないかというような印象を受けた。

なお,ゴルフ場の関係者や利用者でない限り勝手にゴルフ場敷地内に入ることができないので,ゴルフ場のクラブハウスでお願いし,許可を得た上で古墳と思われる塚状地形のある場所付近だけを見学した。


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クラブハウス


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残存古墳と思われる塚状地形
(西の方から見た様子)


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古墳と思われる塚状地形
(南の方から見た様子)
(中央の窪んでいる部分が主体部所在地?)


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大きな石材



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