自宅のラン:トキソウ属が開花

事情があって維持できなくなり,トキソウ属(Pogonia)のランの栽培をやめていたのだが,今年の春に某ホームセンターで「トキソウ」と書かれたポット苗を売っているのを見つけ,またやってみようかという気になった。

プラ鉢を用い,培土は観葉植物・サボテン栽培用の鉱物質が多いタイプのもの(市販品)を使用,常に腰水とし,その水は腐らないように交換を怠らない。肥料はごく少数の液肥を与えただけ。原種は貧栄養の湿地等に育つので,あまり積極的に施肥しないほうが良いのではないかと思う。

このポット苗の植物が日本産の原種トキソウ(Pogonia japonica)であることの確実な保証はなく,日本産のトキソウ(Pogonia japonica)と米国産トキソウ属の一種Pogonia ophioglossoides)の交配品である可能性がある。
特に地下部の形質上の特徴が米国産トキソウ属の一種(Pogonia ophioglossoides)の遺伝子をもつことを強く示唆している。
とはいえ,花の特徴としては,京都府立植物園で植栽されているものとほぼ一致しているので,こういうものでも日本産のトキソウ(Pogonia japonica)の1つのタイプだということはあり得る。
しかし,栽培中の個体の遺伝子を調査していないので,確実なことは何も言えない。

Tomohisa Yukawa and Yumi Yamashita, Pogonia subalpina (Orchidaceae): a new species from Japan, Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. B, 43(3), pp. 79–86, August 22, 2017によれば,Pogonia japonicaPogonia ophioglossoidesとは共通の祖先から分化した種ということが遺伝子分析によって確かめられているとのことなので,共通の外形的形質をもつことはむしろ当然のことなのかもしれない。

ちなみに,日本産のトキソウ(Pogonia japonica)は,1枚の葉と1枚の苞(背咢片)をもつ。米国産トキソウ属の一種(Pogonia ophioglossoides)も基本的には同じなのだが,時として,葉と苞(背咢片)との間に2枚目の葉をもつことがあるとされている。写真の個体とは別に1本の地下茎のようなもので連絡している別の芽を切り離し,別の硬質ポリポットで育てている個体が2枚目の葉をもっているように見える。
問題の個体にはまだ花が咲いておらず,無論,(あくまでも理屈の問題としては)別の植物種の飛び込みということもあり得るので,現在観察継続中。

一般論として,人工交配品の場合でも米国産原種の場合でも,遺伝子攪乱のリスクが存在するため,日本産原種の自生地に植栽してはならない。


Pogonia


Pogonia


Pogonia



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