ウメ「鶯宿枝垂」
2023年3月3日のことだが,つくば植物園(茨城県つくば市天久保)で,「鶯宿枝垂」というウメ品種の花を観た。
江戸時代の絵画(版画)の図案として,開花中の梅の枝に目白がとまって囀っているという定型的なものがある。美しい声で囀るウグイスが人前に姿を現すことは実際には稀であるのに対し,可愛らしい姿をしているメジロが人前に姿を現すことは頻繁にあるので,当時は,メジロとウグイスが混同されていたこと,また,ウグイスが盛んに囀る季節は実際には桜が開花している時期であり,その頃にはメジロが桜の蕾を食べるために人前に表れて桜の枝に群がることが多いことから,事実としての桜とメジロの組み合わせが理念としての梅と(姿のウグイスとしての)メジロの組み合わせに置き換えられて定型化されたものと考えられる。
ウグイスが蕾を食べるために梅や桜の枝にやってくることはないだろうと思う。
つまり,「鶯宿」とは,姿のウグイス(=メジロ)の停まる宿すなわち梅枝のことを指すということなのだと理解できる。
ただ,「もしかすると,植木町の商売繁盛のためにつくり出された架空の定型的図案だったのかもしれない・・・」などと思いたくなることがある。
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