中野市新野:高遠山古墳
2022年11月下旬のことだが,高遠山古墳(長野県中野市新野)を見学した。
高遠山古墳は,全長51.2m・後円部高さ4mで,前方後円墳とされている。ただし,前方部端付近の墳丘は,既に失われている。前方部は,主軸から少しずれて南東側に曲がっており,森将軍塚古墳(長野県千曲市森)との類似性を指摘する見解が多い。
高遠山は,磊龍山とも呼ばれていたとのことなので,古くから古代の支配者(磊龍)の墓所だと認識されていたということなのではないかと想像される。
そして,高遠山古墳の被葬者は,朝廷の命によりこの地に進攻して屯田・支配した武人だったのではないかと考えられる。
なお,「磊」を「靈」の略字,「龍」を「神」と解することができるとすれば,「磊龍」は「祖靈神」または「靈神」と同義になる。
高遠山古墳には後円部に2つの主体部があり,発掘調査が実施されている。その発掘調査結果は,中野市教育委員会編『長野県中野市高遠山古墳発掘調査概報』(平成12年3月)にまとめられている。この報告書の中では,中野市に所在する他の古墳との比較検討の結果も示されており,現時点において,中野市内に残されている古墳全体の概要を知るためにもとても良い資料となっている。
高遠山古墳所在地となっている山の西側裾付近は大規模に掘削されている。現況を前提とする限り,高遠山古墳に直接にアクセスできる道はなさそうだ。現在では掘削されて平坦地となっている古墳所在地西側山裾付近から後円部を見学するしかない。
この平坦地には不動明王堂がある。この不動明王堂は,かつて高遠山古墳の後円部墳頂に祀られていた不動尊と同一のものではないかと思われる。
この平坦地には不動明王堂がある。この不動明王堂は,かつて高遠山古墳の後円部墳頂に祀られていた不動尊と同一のものではないかと思われる。
西の方から見た高遠山古墳所在地付近
西の方から見た高遠山古墳後円部(ズーム)
不動明王堂入口付近にある庚申塔
高遠山南西側山裾にある道
(途中から立入禁止)
高遠山古墳の説明板
現在の不動明王堂所在地
不動明王堂脇にある靈神塔
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