2023年3月1日に茨城県フラワーパークで見たマンサクの仲間の花

2023年3月1日に茨城県フラワーパーク(茨城県石岡市下青柳)を訪問し,園内に植栽されているマンサク属植物の花を観察し,検討した。

2023年2月28日に筑波山梅林(茨城県つくば市沼田)を訪問した際に見たマンサク属植物と同様,外形的形質を基礎とする限り,茨城県フラワーパークの園内でも,少なくとも3種類以上のマンサク品種が混植されているように見えた。

本当に3種類以上のマンサク品種が植栽されているのかもしれないが,もし単一の種類のマンサク属植物だとすれば,北米産のハヤザキマンサク(Hamamelis vernalis)が該当する。

ハヤザキマンサクは,枝によって(シナマンサクと同様に)古い葉が残っていて赤色または橙色の花となるが,別の枝(主として成熟した枝)では鮮やかな黄色の花となり,黄色の花を咲かせている枝では葉がほとんど残っていない。花の中心部の色も異なる。つまり,同一の個体でありながら全く異なる2種類の花を咲かせるという特徴がある。
とはいっても,中には,黄色の花であり,かつ,多数の葉を残している個体もあった(「タイプD」として示した個体)。

黄色の花だけつけている古い幹の脇から新しい枝が出ており,その新しい枝だけ枯葉が残っており橙色の花を咲かせている個体があった(「タイプC」として示した個体)。
たまたま剪定作業の担当の人が通りかかったので「接ぎ木ですか?」と質問してみた。「わからない」との返答だった。
まるで接ぎ木のように見えるのだが,「わからない」との返答だったので,自力で丁寧に観察してみたところ,色違いで咲き分けている新枝のある個体は,どれもが接ぎ木ではなく成熟した幹から自然に生えた新しい枝または新たに生えてきた別の幹だと確認できた。ハヤザキマンサクの成熟個体では,比較的細く灰色をした幹が多数出てきて箒状になるという特徴がある。

樹皮の色などの他の特徴なども総合的に加味し,茨城県フラワーパークでは,ハヤザキマンサク(Hamamelis vernalis)だけが植栽されていると推定することにした。日本産のマンサク(Hamamelis japonica)ではない。

茨城県が法的責任を負う施設ということになる。また,茨城県フラワーパーク敷地を含む周辺一帯は筑波山生活環境保全林に指定されているのだが,これらの北米産のマンサク属植物の植栽に際して環境影響評価等が実施されたか否かは不明。

なお,日本産のマンサク(Hamamelis japonica)は,現時点では,絶滅危惧種とはされておらず,山口県において準絶滅危惧種に指定されているのに過ぎない。
しかし,仮に,日本産のマンサク(Hamamelis japonica)として従来同定されてきた植物種が,実は輸入された外来植物の植栽もしくはその子孫または日本産のマンサクとの自然交雑だとしたら,一体どういうことになるのだろうか?


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マンサク属植物が植栽されている坂道


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マンサク属植物(タイプA)


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同上


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マンサク属植物(タイプB)


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同上


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同上


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同上


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マンサク属植物(タイプC)


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同上


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同上


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同上


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同上


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同上


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マンサク属植物(タイプD)


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同上


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同上


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同上


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梅林隅に植栽されている個体
(「マンサク」の標識がある)


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「マンサク」の標識(ズーム)
(日本産マンサクとしての学名記載がある)



 茨城県フラワーパーク

 Lady Bird Johnson WildFlower Center: Hamamelis vernalis

 Flora of North America: Hamamelis vernalis Sargent, Trees & Shrubs



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