埼玉県児玉郡美里町下児玉など:塚本山古墳群第Ⅰ群東側残存部分(補遺)

古墳の同定に更に疑問点が生じたので,塚本山古墳群(埼玉県児玉郡美里町下児玉~埼玉県本庄市児玉町~埼玉県本庄市栗崎)を更に再訪した。第Ⅰ群の東側残存部分に関しては都合3回訪問したことになる。

2月なのですっかり冬枯れの景観になっており,かなり見通しが良い。全体を見渡して状況を判断し直すことができた。

塚本山古墳群第Ⅰ群東側残存部分の敷地の一部(南東端付近)に設置されている木杭と鉄線は,第Ⅰ群東側残存部分全体の立入禁止を示すものではなく,第Ⅰ群東側残存部分の南西側にある個々の古墳の(土取りや盗掘のための)破壊を防止するためのもので,それ以外の場所にある古墳所在地への立入は可能だと判断した。
実際,南側の小路に沿って存在する古墳は,斜面上にあるため,そのあたりから踏み入ると,次第に墳丘を破壊する結果となることだろう。だから,塚本山96号墳(早稲田69号墳)~第Ⅰ群東側残存部分の南西端出入口付近には杭が打たれ,鉄線がはってある。
既に鉄線が消滅し,木杭の残存物しかないような場所(または,元は木杭と鉄線が存在したことが窺われるけれども実際には消滅してしまっている場所)でも,原則として,斜面を登るためにその場所を通るべきではないと思う。

木杭と鉄線のほかに,ゴミの投棄,古墳の破壊,墳土の盗取等を禁止する旨の掲示は塚本山古墳群所在地内の各所にある。
これらの禁止に違反する行為がある場合,事案により,文化財保護法に定める罰則が適用され得るほか,刑法に定める窃盗罪(刑法235条),不動産侵奪罪(刑法235条の2),器物損壊罪(刑法261条)または威力業務妨害罪(刑法234条)が適用されることがあり得る。

以上を前提にした上で,第Ⅰ群の東側残存部分にある古墳の中で疑問のあった古墳に関しては丁寧に観察して確認し,また,今回の訪問時に近くまでアクセス可能と判断した古墳を近くまで寄って見学した。

それらの古墳を中心にし,補遺としてこのブログ記事を書くことにする。

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早稲田大学の68号墳との標識がある古墳に関し,塚本山90号墳だろうと判断していたのだが,再検討した結果,塚本山93号墳に該当することを理解したので,従前の判断を変更することにした。

同様に再検討した結果,塚本山90号墳は,塚本山古墳群第Ⅱ群に含まれると理解したので,塚本山古墳群第Ⅱ群のブログ記事の中で書くことにする。


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北の方から見た塚本山93号墳(早稲田68号墳)


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西の方から見た塚本山93号墳(早稲田68号墳)
(写真右手奥の標識のある場所が塚本山91号墳(早稲田67号墳)の所在地)


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北西の方から見た塚本山90号墳の所在地の西側付近
(松や雑木が生えている場所の向こう側に塚本山90号墳がある)


塚本山96号墳(早稲田69号墳)の北西側に塚本山99号墳(早稲田72号墳)がある。この古墳は,所在地近くまで行かないと見つけられない。


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東の方から見た塚本山96号墳(早稲田69号墳)


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東の方から見た塚本山99号墳(早稲田72号墳)


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北の方から見た塚本山99号墳(早稲田72号墳)


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北西の方から見た塚本山99号墳(早稲田72号墳)


塚本山99号墳(早稲田72号墳)の北に塚本山100号墳(早稲田73号墳)がある。


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北の方から見た塚本山100号墳(早稲田73号墳)
(右手奥の標識のある場所は塚本山99号墳(早稲田72号墳))


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南の方から見た塚本山100号墳(早稲田73号墳)


塚本山100号墳(早稲田73号墳)の西に隣接して塚本山104号墳(早稲田74号墳)がある。


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南の方から見た塚本山104号墳(早稲田74号墳)


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北東の方から見た塚本山104号墳(早稲田74号墳)


塚本山99号墳(早稲田72号墳)の西側(塚本山104号墳(早稲田74号墳)の南側)に隣接して塚本山105号墳(早稲田75号墳)がある。この古墳も近くまでアクセスしないと見つけられない。


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北の方から見た塚本山105号墳(早稲田75号墳)


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北西の方から見た塚本山105号墳(早稲田75号墳)


塚本山105号墳(早稲田75号墳)の西に隣接して塚本山110号墳(早稲田80号墳)がある。この古墳も墳丘斜面を歩いて近くまでアクセスしないとよくわからない。


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東の方から見た塚本山110号墳(早稲田80号墳)


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北の方から見た塚本山110号墳(早稲田80号墳)


塚本山110号墳(早稲田80号墳)の北西に早稲田85号墳がある。早稲田85号墳の西側は関越自動車道の法面(急崖)となっており,有刺鉄線によって明確に立入禁止であることが示されている。

古墳分布図上の古墳との対応関係は不明。仮に塚本山112号墳に該当するとすれば,早稲田79号墳は,塚本山112号墳ではなく塚本山115号墳に該当することになると考えざるを得ない。

早稲田85号墳を塚本112号墳に該当し,早稲田79号墳は塚本山115号墳に該当するものと判断を変更することにした。


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東の方から見た塚本山112号墳(早稲田85号墳)


IMG_0679.JPG北東の方から見た塚本山112号墳(早稲田85号墳)


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塚本山112号墳(早稲田85号墳)近景


早稲田85号墳のすぐ北側に塚本山115号墳(早稲田79号墳)がある。初回訪問時には塚本山112号墳(早稲田85号墳)だと判断していたが,理解を改めた。


IMG_0688.JPG南の方から見た塚本山115号墳(早稲田79号墳)


塚本山115号墳(早稲田79号墳)の所在地付近から塚本山114号墳の南側断面を見た。ばっさりと掘削されて道が構築されたことがわかる。
関越自動車道を構築するための工事が実施される前は,塚本山115号墳所在地と同じ高さの場所に尾根があり,塚本山墳群の第Ⅰ群西側部分所在地まで続いたいたのだろうと思う。
今から言っても仕方がないことではあるけれども,トンネル化で対処すれば非常に重要な遺跡の主要部分を残せたのではないかと思う。


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南の方から見た塚本山114号墳残存部分の断面


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東の方から見た塚本山114号墳


塚本山114号墳所在地付近から東の方に続く小路を歩き,塚本山103号墳(早稲田76号墳)の冬の姿を見学した後,塚本山103号墳(早稲田76号墳)の北側に位置している塚本山102号墳を丁寧に見学した。

塚本山102号墳所在地とされている場所の大部分は自然の山の尾根のように見える。そのような前提で考えた場合,塚本山102号墳の実際の墳丘は,目測で直径15m前後・高さ2m程度なのではないだろうか。
逆に,墳丘のように見える部分全体が墳丘だとしたら,かなり大きな古墳ということになるのだが,周溝らしきものが見当たらないので,自然の山の尾根を削って造営された古墳ということになるのかもしれない。
ただし,小路から見える範囲内で見学しただけであり,墳丘には登っていないので,細かな点はよくわからない。


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北の方から見た塚本山103号墳(早稲田76号墳)


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北東の方から見た塚本山103号墳(早稲田76号墳)


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南西の方から見た塚本山102号墳所在地付近にある自然の山の尾根


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南西の方から見た塚本山102号墳


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南の方から見た塚本山102号墳


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北東の方から見た塚本山101号墳(早稲田77号墳)



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