石岡市井関~かすみがうら市:井関・風返古墳群(その3)
過日,井関・風返古墳群(茨城県石岡市井関~かすみがうら市宍倉~かすみがうら市安食)を見学した。
風返浅間山古墳などを見学した後,南の方に少し移動し,井関・風返古墳群の1号墳を見学した。旧風返古墳群の1号墳(茨城県かすみがうら市安食)であり,風返稲荷山古墳とも呼ばれ,全長78.1m・高さ10mで,前方部を西の方に向けた前方後円墳とされている。
古墳所在地へ入る坂道に自転車が停めてあったので,「誰か先客の見学者が来ているのかな?」と思いつつ墳丘の方に向かうと,果たして若い男性と出遭った。少しだけ会話した。良い印象を受ける方で,古代史に興味をもっているとのこと。非常に良いことだと思う。
一般に,有名なお城や寺社等とは異なり,古墳を見学しようとする人はそんなに多くない。なにしろ古代のお墓だ。同じお墓でもエジプトの大ピラミッドになると世界中から観光客が押し寄せるのだが,日本国内のあまり有名ではない古墳では,そういうことが起きることはまずない。そのため,古墳を探訪中に他の人と出遭うことは滅多にない。
現地で他の見学者と出遭ったのは何年ぶりのことになるのか・・・思い出せないくらいだいぶ以前のことのように思う。
さて,私が思うには,風返稲荷山古墳は,保存状態がかなり良く,とても立派な前方後円墳だと思う。
風返稲荷山古墳の前方部西側の周溝の一部は後代の堀や土塁に二次利用されているように見えるので,鎌倉時代~戦国時代頃には砦の一部として利用されていたのかもしれないのだが,それによって墳丘が大規模に改変されているようには見えない。
実に素晴らしい古墳だと思う。もっと広く知られるべき古墳だと断言できる。
風返稲荷山古墳から出土した出土品は,これまで茨城県指定の有形文化財だったが,今後は,国指定の有形文化財となるようだ。これも素晴らしいことだと思う。
ただし,風返地区にある古墳全部について言えることなのだが,交通の便がかなり悪く,直近に広い公共駐車場が存在しないことが(観光立地としての)難点と言えば難点。
この点は,かすみがうら市当局の行政能力の発揮のしどころというものではなかろうか。
風返稲荷山古墳に至る通路入口付近
(右手前の日陰のところに置いてある石材は古墳由来の石棺材と思われる)
説明板があった場所
(支柱下部だけ残存)
通路を登り終えた場所付近から見た全景
(左が後円部・右が前方部)
北の方から見た後円部
北の方から見た前方部
墳丘前方部北西側の周溝部分
くびれ部付近から見た後円部
後円部墳頂付近
後円部墳頂付近から見た前方部
前方部頂付近
前方部から見た後円部
前方部西側の周溝を二次利用したものと思われる空堀と土塁のような地形部分
南西の方から見た風返稲荷山古墳所在地付近
風返稲荷山古墳所在地の北西には西田遺跡と呼ばれる縄文時代,奈良・平安時代,近世の複合遺跡の遺跡包蔵地がある。西田遺跡の範囲内と思われる場所に,小さな塚があり,石祠が祀られていた。古墳ではないと思われるが,西田遺跡と何らかの関係をもつものではなかろうか。
小さな塚と石祠
井関・風返古墳群を構成する古墳の中には,今回見学した古墳のほかに,まだ見学していない古墳が複数ある。見学可能な古墳は見学したいと思っている。他日を期したい。
かすみがうら市歴史博物館:「風返稲荷山古墳出土品」が国指定文化財になります
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