大田原市片田:熊野神社と古墳など
2023年1月10日のことだが,熊野神社(栃木県大田原市片田)を参拝した。
熊野神社の基壇部は,熊野神社古墳と呼ばれる古墳(栃木県遺跡番号・1296)とされている。栃木県教育委員会編『栃木県埋蔵文化財地図』(平成9年3月)では実際の鎮座地よりも少し南に位置するものとして表示されているけれども,誤記と思われる。
熊野神社古墳の現況は方墳のように見えるが,元はもっと大きな円墳だったのではないかと思われる。
黒羽町誌編さん専門委員編『黒羽町誌』の「那珂川河岸の古墳」の項の中では,「湯殿の古墳」の写真が掲載され,かつ,「銭室塚古墳と大塚」の項の本文の中で「片田の熊野神社・温泉神社などの社殿が古墳の上部を削平したところに建てられている」と紹介されている。
この『黒羽町誌』の中にある「湯殿の古墳」の写真は,温泉神社古墳(栃木県遺跡番号・1295)の写真ではなく,熊野神社古墳(栃木県遺跡番号・1296)の写真。
2023年1月10日に現地を訪問した際,写真と照合して確認したが,たまたま土地所有者の方と出遭ったので,その方からも熊野神社であることの確認を得た。まことにありがたいことだと思う。
熊野神社正面(南側)の石段には大きな川原石が用いられている。古墳由来石材なのではないかと思われる。
東の方から見た熊野神社鎮座地
正面石段
社殿
南東の方から見た様子
南西の方から見た様子
片田地区には,片田浄水場東の温泉神社と熊野神社のほかにも元は古墳だったのではないかというような印象を受ける地形部分が複数残存している。真に古墳であるかどうはわからず,少なくとも現時点では古墳としては扱われていない。
そのような現時点では古墳として扱われていない塚状地形の1つが片田浄水場東の温泉神社のすぐ北側にある。小さな塚で,稲荷神社と思われる祠が祀られている。
南の方から見た様子
社殿
馬頭観世音
南西の方から見た様子
北東の方から見た様子
これらの神社の社殿は,どれも南の方を向いている。非常に興味深い。
片田地区から南の方にずっと行くと筑波山付近となる。更に南の方は印西~成田~芝山~山武付近となる。
同上
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