大田原市湯津上:二荒神社古墳群(その2)
2022年11月初旬のことだが,二荒神社(栃木県大田原市湯津上)を参拝した。祭神は,大己貴命・田心姫命。
二荒神社の境内地には二荒神社古墳群がある。
栃木県教育委員会編『栃木県埋蔵文化財地図』(平成9年3月)では,二荒神社の境内地にある古墳だけを二荒古墳群(遺跡番号・1251)の古墳として扱っている。
二荒神社古墳群に関し,二荒神社境内地から少し南に位置する場所にある2基の古墳を加えた合計5基の古墳で構成される古墳群とする見解がある。
2022年11月初旬の訪問の時には,手持ち時間の関係等もあり,二荒神社の境内地にある3基の古墳だけを見学した。
その後,2023年1月10日に現地を再訪し,二荒神社の南の方にある2基の古墳とされる場所を見学した。
それらの2基の古墳のように見えるものは,隠滅古墳の石材等を集めて積んだ塚(ヤックラの一種)ではないかと思う。
このブログ記事では,これら2基の古墳のように見えるものに関し,仮に,北から順にD号塚状地形,E号塚状地形と呼ぶことにする。
さて,D号塚状地形は,民家の敷地隅にあり,塚と思えば塚なのだが,道路等のために周囲を一部掘削したために島状に残地になってしまった地形部分のようにも見える。
とはいえ,大小の川原石が積まれているようにも見えるので,既に隠滅した古墳の石材を集めた場所なのかもしれない。あるいは,古墳由来の石材で石垣を組んだ土塁的な構築物が崩壊した後の残存物のようなものかもしれないとも考えられる。
D号塚状地形の上にはコンクリート製の電柱が立てられており,支えのワイヤの基礎部分も埋められている。加えて,栃木県の河川域表示の標識も立てられている。
もしD号塚状地形が古墳であるとすれば,それらの設置物の設置工事の際に何か出土したかもしれないのだが,自由にアクセス可能な情報源に関する限り,D号塚状地形の考古学上の調査等と関連する公式情報は何もない。
基本的には民家敷地内にあるので,道路から見える範囲内で見学した。
西の方から見たD号塚状地形所在地付近
北西の方から見たD号塚状地形
北の方から見たD号塚状地形
北東の方から見たD号塚状地形
E号塚状地形は,最南端に位置しており,田の中にある。道路から見える範囲内で見学した。
E号塚状地形は,少なくとも4種類以上の全く異なる材質・大きさの石材を積み重ねた塚のように見える。
石材の種類や積まれ方から推測して,既に隠滅した複数の古墳から出た石材を集めて積み上げたものではないかと思われる。
E号塚状地形の下部の方は土で造営された塚の残りのようにも見え,全体としては小さな墳丘のようにも見えないこともない。しかし,これは,周囲の土地を水田とするために平坦に掘削した結果として,相対的に島状の土地ができてしまっただけのことであり,元は,水田部分の地面の高さがもっと高かったのだろうと思う。
E号塚状地形は,それ自体としては,古墳ではないだろうと判断した。ただし,確定するためには,専門家による発掘調査または(地下レーダーのような)非破壊的手段による精密調査を要する。
西の方から見たE号塚状地形
南東の方から見たE号塚状地形
東の方から見たE号塚状地形
北東の方から見たE号塚状地形
北の方から見たE号塚状地形
北西の方から見たE号塚状地形
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