石岡市柿岡:横室神社と古墳

過日,横室神社(茨城県石岡市柿岡)を参拝した。
横室神社の由緒等の詳細は不詳。

横室神社の境内には不動堂と観音堂がある。
木造不動明王像は,これまで室町時代の作と考えられてきたけれども,最近の研究の結果,平安時代(1034~1170年)の作の可能性が高いと判定されたとのこと。
この不動明王像は,戦国時代の小田氏の一族(上曽氏)が帰農した際,祀ったもので,不動明王像それ自体としては,廃寺となった長楽院から神社に移したものと考えられているようだ。

横室神社の境内地付近は,横室古墳と呼ばれる古墳の所在地だったが,現在ではその墳丘が完全に失われており,どこに古墳があったのかもわからないような状態になっている。
確実ではないが,情報を総合すると,現在では八郷郵便局の敷地になっている場所に墳丘が存在したようだ。墳丘の上に神社が建っていたと想定すると,現在の横室神社は,八郷郵便局の建設に伴い,境内地を東側に移動させるようにして遷座したものだと考えるしかないということになりそうだ。八郷郵便局の建設の際に,(当然のことながら,法定の義務として)遺跡の調査が実施されたはずなのだが,その調査結果が記録化していないことの原因,または,記録化されていても公表されていないことの原因は不明。

いずれにしても,横室古墳は,既に隠滅している。

横室古墳の規模や構造は不明なのだが,横室神社との名称から推測すると,隠滅した横室古墳は,横穴式石室が開口している比較的大きな古墳だったと想像される。

現在,横室神社の境内地には,横室古墳由来とされる石材が並べられている。石材には板碑等として二次利用されていたもので,後にこの場所に集められ,並べられたらしい。

これらの石材は,石棺材とされているけれども,石室材の一部が含まれているかもしれない。

サイズは異なるが,石橋愛宕神社(栃木県下野市石橋)の境内地に保管されている石室材を思い出した。
このあたりは,古代から戦国時代までずっと,取ったり取られたりが繰り返されたところなのかもしれない。


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横室神社入口付近


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鳥居


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横室神社の社殿


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観音堂


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不動堂


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境内地に並べられている石材


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左端の石材近影


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左から2番目の石材近影


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左から3番目の石材近影


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右端の石材近影


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反対側から見た様子



 埼群古墳館別館:石岡市横室古墳



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