石岡市佐久:佐久古墳群(その1)

2022年11月初旬のことだが,佐自塚古墳(茨城県石岡市佐久)を再訪した。

この古墳は,異なる季節に何度も見学している。いつ見ても立派な古墳だと感心する。

佐久古墳群の古墳分布図は,柿岡古墳群の分布図の一部として,佐々木憲一・田中裕編『常陸の古墳群』(六一書房)の127頁にある。
ただし,この分布図は,後藤守一・大塚初重『常陸丸山古墳』(山岡書店,1957)に収載されている図をそのまま転用したもので,細部においては必ずしも正確なものではないのだが,古墳の相対的位置関係を知るためには参考になる。

今回の訪問は,合計4基の古墳(1基の前方後円墳と3基の円墳)で構成される佐久古墳群としての全体構成の理解を目的とする見学を目的とするものだった。一応,全ての古墳を見学できた。

佐自塚古墳として知られている佐久2号墳以外の古墳は,これまでも何度か一応見学しており,写真も撮っていたのだが,詳細な記録等を入手していなかったので,確実ではないと判断し保留にしていた。

やっと全容を理解するに至ったので,改めて,まとめて全部見学することにした。


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東の方から見た佐自塚古墳所在地付近
(木々の間から墳丘の一部が見える)


現時点において,いばらきデジタルマップ上では,「佐久古墳群」は存在しないことになっている。少なくともその表示はない。

現時点では,佐自塚古墳以外の塚状地形部分は「古墳ではない」という(茨城県教育委員会の)判断になっているのかもしれないし,単純に担当者のミスまたは過誤または調査不足によりそのような表示になっているのかもしれない。
あるいは,猛烈な開発許可要求がどこかからあるのではないかと勘繰りたくなる。

一般論として,各自治体の所管教育委員会には,かつて遺跡として扱われていた場所に関しても,歴史上存在した遺跡に関する情報として提供すべき義務がある。
各自治体の教育委員会は,現在及び過去の遺跡や文化遺産を保存し,記録化し,公開するために存在している公的組織であり,開発事業者等のための自動許可装置ではない。
各自治体の教育委員会は,文化と歴史と教養の守護者としてのプライドをもつべきだと思う。それに適した十分な能力をもつ人材が各自治体の教育委員等として任命されているはずだ。

以上の一般論はさておき,佐久1号墳(直径15.5mの円墳)は,佐久2号墳(佐自塚古墳)の南西に隣接している。


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南西の方から見た佐久1号墳の所在地付近


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東の方から見た佐久1号墳


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北東の方から見た佐久1号墳


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佐自塚古墳(佐久2号墳)の前方部端付近


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佐自塚古墳(佐久2号墳)の前方部頂付近から見た佐久1号墳


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佐自塚古墳(佐久2号墳)のくびれ部付近から見た後円部


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佐自塚古墳(佐久2号墳)の後円部墳頂付近


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佐自塚古墳(佐久2号墳)の後円部から見た前方部


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北の方から見た佐自塚古墳(佐久2号墳)の後円部


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北東の方から見た佐自塚古墳(佐久2号墳)の後円部


あくまでも一般論だが,関連資料を読み,理解し,現在の地図と適切にマッピングするためには,それ相応の努力と時間を要する。私は全て私費で賄っている。

これに対し,税金で仕事をした結果として情報を得た場合,本来は,各地の所管教育委員会が完璧な地図情報を(オープンデータとして)提供すべきものだ。

これに対し,税金によって仕事をしている公務所の場合,その仕事の結果を国民全部に還元すべきことは,(民主主義社会においては)公務所の本質的義務の一部だと確信している。
そして,公務所自らがオープンデータとして情報提供するだけではなく,公務として収集された情報や発掘された出土品に関し,保存のために必要な場合等を除き,自由に閲覧し,写真撮影し,撮影した写真を公衆送信等できるようにすることもまた,(民主国家においては)自治体の基本的な義務の一部となっていると言える。

長年あちこちの教育委員会を実際に訪問し,執務体制・執務能力・予算等を仔細に調査し,これまでさんざん苦労して調査・獲得した関連情報を記録化してきた。
そのような調査結果を徹底的に検討した結果,かなりの改善がみられる自治体が少なくない。

しかし,そうではない自治体も少なくない。

博物館や資料館の収蔵品の写真の公開を自由にすると訪問者が減るのではないかと危惧する人が多いのではないかと推定されるけれども,現実には,どのような収蔵品があるかわからないので訪問の意欲が発生しないという人が圧倒的に多いのではないかと思う。

現代社会では,ネット上の写真等を見て,「実物を見たい」という気持ちを生じさせる人が多いと思われるので,時代状況と情報環境の変化に即した合理的な対応が望まれる。

なお,遺跡の解説書等の出版物(冊子等)のデッドコピーに関しては,厳正な態度で臨むのが正しいのだが,その場合においても,現行の著作権方の基本理念において,公務所が公務上作成した文書等に関しては著作権がある場合でもその著作権の行使を控えるという立法姿勢が明確になっているので,この点に関して十分な理解をもつべきだと思う。

自治体が設置した説明板や自治体が刊行した書物・冊子等のコピペだけで構成されており,本人の考察結果が少しも反映されていないサイトは,結果的にどれも同じになってしまうので,尊敬を集めることはない。長い目で見れば,自然淘汰のようなものが発生し得るのではないかと予測している。
コピペだけで構成しても尊敬されるサイトを構築・維持できた時代は終わった。同じことをするサイト運営者が無数に存在するからだ。
そして,他者の優れた考察結果や写真作品等を自分のものとしてコピペで使用する者は,(公務所ではなく私人の権利を侵害する者なので)著作権法に定める処罰を受けることになる。
現在ではまだ事例が少ないかもしれないが,いずれ増える。

私自身は,これまでさんざんデッドコピーされ続けてきた。告訴してもよいのだが,様子を見てきた。結論として,放っておいても没落してしまった者が多い。



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