栃木県芳賀郡芳賀町西水沼:錫杖塚古墳(隠滅)の所在地
過日,既に隠滅している錫杖塚古墳の所在地(栃木県芳賀郡芳賀町西水沼)を見学した。
芳賀町史編さん委員会編『芳賀町史 資料編 考古』(平成13年)の175~181頁によれば,錫杖塚古墳は,発掘調査の結果,直径約20m・高さ約2mの円墳と推定されている。発掘調査の時点では,墳丘の大部分が既に失われているような状態だったようだ。埋葬施設は,箱式石棺だった。
発掘調査の後,古墳の残存部分が全て削平された。
錫杖塚古墳の所在地は,天満宮の北約400mの段丘上で,その東側は段丘崖となっている。この台地上では,地下の箱式石棺だけだが,
錫杖塚古墳の所在地を含む周辺一帯は,谷近台遺跡と呼ばれる古墳時代~奈良・平安時代の複合遺跡の遺跡包蔵地となっている。
『芳賀町史 資料編 考古』の529~540頁によれば,谷近台遺跡の範囲内に含まれる古墳時代の遺跡としては,箱式石棺を埋葬施設とする剣塚古墳を含む古墳群がつくられたことが昭和48・49年の発掘調査の結果判明しており,また,奈良・平安時代の遺跡としては,比較的大規模な集落跡が発見されている。
現代では,台地の南端付近に天満宮が鎮座しており,台地中央の東端付近に天台宗・常珍寺があるほかは,農地だけの平凡な台地のようにしか見えない。しかし,古代においては,この地域の支配者の一族の居住場所が存在した場所なのかもしれないというような印象を受けた。
錫杖塚所在地付近
台地の北西側部分
天満宮の鎮座地となっている台地南側部分付近
常珍寺境内のある台地北東側付近
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