高崎市吉井町池:下池古墳群
過日,下池古墳群(群馬県高崎市吉井町池)の所在地を見学した。
現地には石を積み上げた塚のようなものが多数見られる。
ただ,古墳なのかどうかはよくわからない。墳丘は既に隠滅しており,地表に散乱していた火山礫や古墳残骸等の石を集めて積んだだけの現代の塚である可能性が高い。『群馬県古墳総覧2017』の詳細データを見ても,吉井町96号墳~吉井町106号墳は,耕地,道路,墓地等とするために既に開削されて隠滅しており,その所在地付近にある塚状地形は,現代に積まれた礫の塚と考えるのが妥当ではないかと思われる。
吉井町95号墳は,28尺×6尺の円墳であり,墳丘の一部がまだ残存している古墳だとされている。
直観的な印象に過ぎないが,既に隠滅しているのではないかと思われ,墳丘の残存物だと言われているものは礫を積み上げた塚ではないかというような印象を受けた。
同上
吉井町96号墳(伊勢森古墳)は,58尺×8尺の円墳とされており,その所在地付近には比較的大きな塚状地形が存在する。しかし,この塚状地形は礫を積み重ねたものであり,墳丘の残存物ではない可能性が高い。
伊勢森古墳所在地付近にある比較的大きな塚状地形(同上)
同上(南西の方から見た様子)
吉井町96号墳(伊勢森古墳)の北東側には吉井町97号墳が隣接していることになっている。しかし,該当しそうな場所には,既に宅地となって隠滅しているものと思われる。写真は撮影しなかった。
吉井町96号墳(伊勢森古墳)の東側には吉井町99号墳と吉井町100号墳などが点在していることになっている。該当しような場所には石を積み上げた小塚が幾つかある。しかし,これらの古墳も既に隠滅しており,地上にある小塚のようなものは,火山礫や古墳の残骸礫を積み上げた現代の塚なのだろうと判断した。
吉井町99号墳・吉井町100号墳などの所在地付近
吉井町101号墳の所在地付近は,現在では太陽光パネル群となっているので,吉井町101号墳は既に隠滅している可能性が高い。
(写真中央奥の塚状に見える部分は古墳ではない)
結局,(地下遺構や地下構造物の残骸等を除き)この地区に残存している古墳はないと考えるのが妥当なのではないかと思う。
しかし,あくまでも立地の問題としては,古代におけるこのあたりの状況は,相当に密度の高い群衆墓地域だったのではないかと思われる。
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