匝瑳市飯塚:松峯神社と古墳(その2)

過日,松峯神社(千葉県匝瑳市飯塚)の境内地を訪問した。
松峯神社の社殿は,令和4年12月末日までの予定で改築工事中だったため,松峯神社を参拝できなかった。

松峯神社の境内地及びその周辺には,2基の円墳と1基の方墳で構成される松峯古墳群がある。ただし,千葉県文化財保護協会編『千葉県所在古墳詳細分布調査報告書』(平成2年3月)の127頁によれば,松峯古墳群は3基の円墳で構成される古墳群とされている。

平岡和夫『千葉県九十九里地域の古墳研究』(平成元年)の124頁及び227頁によれば,松峯古墳群の1号墳は,直径23.00m・高さ4.00mの円墳。墳丘の南西側は松峯神社の社殿のために削平されている。墳丘の所在地は社殿の裏側(北側)になるのだが,ちば情報マップ上の表示では実際の場所よりも西にずれた場所にマークが存在する。マークされている場所には何もない。

今回訪問した際には,社殿の改築工事中で,基礎部分が仕上がった段階だったので,まだ社殿が組みあがっておらず,1号墳の墳丘全部を見学できた。


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西の方から見た1号墳


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南西の方から見た1号墳


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南東の方から見た1号墳


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千葉情報マップ上で1号墳の所在地として表示されている場所付近


ちば情報マップ上で3号墳として山の南西側斜面上にマークされている円墳が実際の場所よりも西にずれて表示されていると仮定した場合,下記の写真の石段脇(西側)にある塚状地形のような場所が2号墳に該当し得ることになる。
ただし,その正式の測量結果等の詳細は不明。
仮に古墳であると仮定した場合,目測で,直径約10m・高さ2m前後の円墳または方墳のように見える。


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2号墳の所在地付近


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北東の方から見た2号墳


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東の方から見た2号墳


千葉情報マップによれば,松峯古墳群の3号墳の所在地は,松峯神社が鎮座する山の南西側斜面~山裾付近となっている。

運送会社の貨物自動車用駐車場の脇に塚のようなものがある。たぶん,建設残土のような単なる土塊だと思われ,古墳ではないと判断した。ただし,近くに寄って観察していないので,確実ではない。

他方,千葉県文化財保護協会編『千葉県所在古墳詳細分布調査報告書』(平成2年3月)の図21Aによれば,3号墳は,石段の東側に位置しているように図示されているように見える。
千葉情報マップ上で2号墳(方墳)としてマークされている古墳が実は3号墳であり,西にずれた位置に表示されているという可能性はある。

つまり,千葉情報マップでは,3基の古墳全てが石段の西側にあるかのようにずれて表示されている可能性が高い。

ところが,現地を訪問した時点では,千葉情報マップの図示がそこまで不正確だとは想定していなかったので,石段の東側斜面付近をちゃんと観察しなかった。
もし機会があれば,再訪して石段の右側(東側)の斜面を観察したいと思っている。

いずれにしても,千葉県と匝瑳市の関係文書は,可及的速やかに現地調査を実施し,千葉情報マップの表示を是正すべきだと思う。


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千葉情報マップでは3号墳所在地となるはずの場所付近



[追記:2023年2月16日]

松峯神社を再訪した。まだ工事中だった。

このブログ記事で2号墳だろうとしている方墳様の地形部分は,草のない状態で観察すると,古墳ではないように見えた。尾根の一部を改変した地形ではないかと思われる。

草が繁っていない状態の下で改めて観察してみたところ,2号墳に該当するかもしれない別の塚状地形がもっと北(1号墳のすぐ西)の場所にあった。

3号墳に該当するかもしれない半塚状地形は,石段の東側(水神社が祀られている場所)にあった。ただし,尾根の一部を改変した地形のように見える。

これら再訪して観察した結果に関しては,後日,改めてブログ記事を書くことにする。


[追記:2024年5月9日]

2023年2月に再訪した際に撮影した写真の中から何枚か追加してアップする。


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水神宮所在地付近


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水神宮
(台石は古墳由来石材?)


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初回訪問時に2号墳の可能性を検討した場所の冬姿


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同上(近影)


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社殿新築工事続行中の場所


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松峯1号墳


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同上


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同上


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1号墳のすぐ西にある2号墳?



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