千葉県山武郡芝山町小池:谷津古墳群(その2)

過日,谷津古墳群(千葉県山武郡芝山町小池)を見学した。

谷津古墳群に関しては,芝山町教育委員会編『芝山町史 資料集1 原始・古代編 第2分冊』(平成4年)の477~478頁に解説がある。

谷津古墳群の2号墳の所在地は,農業者トレーニングセンターの北東側にある第三駐車場の東側となっている。

谷津古墳群の2号墳は,直径6.30m・高さ1.80mで,墳丘の西側が道路によって削られている円墳とされている。
それらしきものが一応あったのだが,もしかすると誤認であり,既に湮滅しているのかもしれない。

なお,平岡和夫『千葉県九十九里地域の古墳研究』(平成元年)の99頁では,2号墳が「1号墳」,古墳群分布域の東側にある2基の円墳が「塚」となっている。芝山町教育委員会の見解と一致しない。
他方,千葉県文化財保護協会編『千葉県所在古墳詳細分布調査報告書』(平成2年3月)の図20では古墳群分布域の東側の2基の円墳の記載がなく,代わりに,前方後円墳の南に位置する段丘崖付近に所在するものとして1基礎の円墳を表示している。
この段丘南端付近の一帯の現況は太陽光パネル群となっているので,この場所に円墳があったとすれば既に湮滅していると考えられる。ただし,開発に伴う発掘調査結果報告書の有無は不明。この段丘南端付近の円墳の記載は,『千葉県九十九里地域の古墳研究』の中にもない。発行時期が近接しているのにどうしてこのような極端な齟齬が存在しているのか,正常な文化財管理行政の存在を前提とする限り理解し難い面がある。情報学の観点からすると,「所管行政機関による適正な情報管理が不存在の事例」の1つとして記録され,綿密な調査研究の対象とされ得ることになる。
いずれにしても,この記載も芝山町教育委員会の見解と一致しない。

このブログ記事では,とりあえず『芝山町史』の付番に従うことにした。


IMG_3831.JPG使用休止の掲示


IMG_3827.JPG
テニスコート


IMG_3834.JPG
第三駐車場


IMG_3835.JPG
2号墳所在地付近


残りの2基の円墳の所在地は,いずれも立入りできない場所となっている。見学を断念して引き返すことにした。
見学を断念した2基の円墳中の古墳群南東端にある円墳のことを仮にB号墳と呼ぶことにする。
地形図を見る限り,B号墳所在地のすぐ西側に尾根のピークがあるが,これも古墳なのではないかと思われる。ただし,現時点では古墳とはされていない。


IMG_3846.JPG
B号墳所在地付近


IMG_3848.JPG
B号墳所在地付近を通る道路の脇にあった石祠


帰路では,トンボやバッタなどの昆虫を観た。


IMG_3861.JPG
アキアカネ


IMG_3871.JPG
ツチイナゴ



この記事へのコメント