栃木県芳賀郡市貝町市塙:諏訪塚1号墳
過日,諏訪塚古墳群の1号墳(栃木県芳賀郡市貝町市塙)を見学した。この1号墳は,諏訪塚古墳とも呼ばれている。
諏訪塚古墳群は,市貝町役場の北東約500mのところに位置する山の尾根上にある。
諏訪塚古墳群を代表する諏訪塚1号墳の所在地は,市貝町内の各所に立てられている観光案内図の中にも示されており,市貝町としては観光地という位置づけをしていることが明らかだ。しかし,それらの観光案内図は,かなりアバウトな観光案内図なので,諏訪塚1号墳所在地の詳細情報を得るためには,事前に関連資料等を調査・検討することを要する。
市貝町史編さん委員会編『市貝町史』(平成2年)の420~424頁によれば,諏訪塚古墳群は,1基の前方後円墳(1号墳)と3基の円墳(2号墳~4号墳)の合計4基の古墳によって構成されている。1号墳は,市貝町指定の有形文化財となっている。
現在,諏訪塚古墳群を構成する古墳の中で見学可能な古墳は1号墳だけのようだ。他の3基の円墳は,もともと高さがあまりない小さな古墳(調査時点で高さ0.8m~1.0m)なので,現地に行ってもよくわからないのではないかと推測する。
栃木県道163号黒田市塙真岡線に面して「諏訪塚古墳」と記された市貝町史跡指定の標柱が立てられている。この標柱のあるところから道なりに進むと,その先は民家敷地の門となっている。
その民家敷地の奥からも古墳所在地に到達できるようなのだが,私が訪問した時はたまたま不在のようで,所有者に無断で通過することはできないので,その場所から古墳所在地に到達することは断念した。
ある方から,標柱所在地から約100mほど北側にある山道を登ると古墳所在地に到達できると教えていただいたので,そこから登ってみることにした。
その山道には立入禁止の表示はなく,特に障害物もなかったので,比較的短時間で諏訪塚1号墳の所在地に到達できた。現地には古墳の説明板が立てられている。
諏訪塚1号墳は,全長約39m,後円部直径約21.4m・後円部高さ約3.2m,前方部幅約22.4m・前方部高さ約3.8mで,前方部を西の方に向けた前方後円墳とされている。
諏訪塚1号墳の墳丘の保存状態は非常に良く,素晴らしい古墳だと思った。墳丘の周囲には周溝のように見える窪地が少し残されている。
古墳所在地付近の現況は,墳丘の周囲が山林となっているため,その周辺の様子の眺望が良くない状態となっている。
しかし,古墳が造営された時点では樹木が存在しない状態だったと推測され,この場所から見渡せる限りの土地が被葬者の支配地だったのだろうと考えられる。
とても肥沃な地域なので,古墳被葬者は,相当の権力と財力をもつ者だったと考えられる。
諏訪塚古墳の標柱
標柱の傍に立てられている南無妙法蓮華経
北側から登る山道
北西の方から見た諏訪塚1号墳の全景
(右手前が前方部・左奥が後円部)
前方部端付近
説明板
前方部頂にある石祠
前方部付近から見た後円部
後円部頂付近
後円部頂付近から見た前方部
北側の墳丘裾付近
南側の墳丘裾付近
南の方から見た後円部
北の方から見た後円部
北の方から見た前方部
南東の方から見た諏訪塚古墳群のある山
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