千葉県山武郡芝山町高田・大台・宝馬・山田・岩山:山田・宝馬古墳群(その1)

過日,山田・宝馬古墳群(千葉県山武郡芝山町高田・大台・宝馬・山田・岩山)に属する古墳の中でアクセス可能な古墳を見学した。

山田・宝馬古墳群は,平成4年当時までに判明していた古墳総数で195基とされる大規模な古墳群であり,その所在地も広い。既に湮滅している古墳がかなり多数あり,公道から見学できない古墳もあるのだが,アクセス可能な古墳である限り,全行程を徒歩で見て回った。

このような大規模な古墳群を見学しようとする場合,(例えば)芝山町内に掲示されている観光案内図のような概略図等では全く役に立たない。

この古墳群を見学したければ,まず,芝山町教育委員会編『芝山町史 資料集1 原始・古代 第2分冊』(平成4年)を入手し,その400~474頁に書いてあることを精読・理解し,405頁にある分布図に示された古墳所在地と現在の地図上の客観的な位置とのマッピングを正確に行い,必要に応じて自分用の古墳分布図を作成・所持するなどして綿密に準備した上で現地に臨まないと,結局,よくわからないで終わることになる。

私の場合,そのように準備してから見学を開始した。
ただし,徒歩で見て回る前に,自動車で容易に走行可能な場所をざっと一回りして土地勘を得ておいた。やはり,地図上の記載やGoogleの写真と実物の状況とは異なる。

今回,アクセス不能だろうと事前に判断して訪問しなかった場所に関しては,もし客観的には見学可能な場所にあるのであれば,再訪するかもしれない。


IMG_1413.JPG芝山町の観光案内図


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徒歩で訪問中,宮門遺跡と呼ばれる遺跡包蔵地の前を通った。この遺跡は,縄文時代中期と古墳時代後期の複合遺跡で,土器片等が発見されているようだ。
宮門遺跡の分布域東端付近には宮門神社の境内地がある。まだ参拝していない。


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宮門遺跡所在地の南端付近
(奥の林は宮門神社の境内林)


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宮門遺跡所在地の北東端付近


宮門遺跡所在地付近から北の方に進み,いったん谷を降りて北西の方を見ると高田城跡と思われる場所がある。この場所には独立行政法人水資源機構成田用水高田ファームポンドがある。
高田城跡の所在地に関して,ちば情報マップ・埋蔵文化財包蔵地では,この場所の南に位置する八坂神社の鎮座地となっている山が高田城跡として表示されている。
しかし,JA山武郡市 芝山経済センター付近~独立行政法人水資源機構成田用水高田ファームポンド付近が全体として高田城跡なのではないかと思った。
これらの山にはそれらしい地形がまだ残存じているようだ。

高田城跡付近の道路をはさんで東側の道路法面上に小さな神社があった。社号を含め,由緒等の詳細は不詳。氏神かもしれないと思ったが,敬意を表する趣旨で参拝した。

この小さな神社の境内地は,大台西藤ヶ作遺跡と呼ばれる縄文時代早期・古墳時代後期・平安時代の複合遺跡の遺跡包蔵地の南西端に位置している。
大台西藤ヶ作遺跡には円墳が1基あることになっているけれども,現況では見当たらない。


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高田城跡と思われる場所
(成田用水高田ファームポンドのある山)


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神社の石段と鳥居


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神社の社殿


神社のある場所から更に北の方に進むと,大型コインランドリーデポ芝山店(千葉県山武郡芝山町高田)という店のある場所に至る。

このコインランドリー店の敷地の道路をはさんだ北側の民家敷地内に比較的大きな古墳が残されている。
民家敷地内にあるけれども,墳丘の北側と西側が公道に面しているので,その墳丘の主要部分を公道から見学できる。

この古墳は,山田・宝馬164号墳と呼ばれ,後円部直径27.2m・後円部高さ4.85mで,前方部を北の方に向けた前方後円墳。後円部の北側にあるはずの前方部は既に削平されており,現存しないようだ。

なお,コインランドリー店の敷地を含む周辺一帯は,権現遺跡と呼ばれる縄文時代,古墳時代後期,奈良・平安時代,中世の複合遺跡の遺跡包蔵地となっているので,山田・宝馬164号墳と何らかの関係をもつ人々が居住した場所かもしれないと思う。


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南西の方から見た山田・宝馬164号墳


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西の方から見た山田・宝馬164号墳


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北の方から見た山田・宝馬164号墳
(手前の平坦地が削平された前方部所在地)


山田・宝馬164号墳所在地の北西すぐ近くに山田・宝馬152号墳(一辺20mの方墳)と山田・宝馬153号墳(直径26mの円墳)という古墳もあったが,昭和62年に発掘調査された後に湮滅している。
それらの古墳が所在していた場所は,成田車検センター(千葉県山武郡芝山町高田)の敷地となっている場所付近ではないかと思われる。


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成田車検センター


山武警察署芝山交番(千葉県山武郡芝山町宝馬)の東約150mのところには山田・宝馬140号墳という前方後円墳が存在することになっている。ただし,その測量結果は,全長が27.80,前方部及び後円部共に高さ1.99mkとなっているだけで,後円部の直径も前方部の幅も記載がないので,もとも残骸程度のものしか存在していない古墳なのかもしれない。

現地を視認した。

古墳分布図の記載が正しいという前提で山田・宝馬140号墳の所在地付近を北の方から見ると,畑越しに,やや高くなっている場所があり,もしかするとそれが山田・宝馬140号墳の墳丘に該当するのではないかと思った。民家敷地内にあるので,近くに寄ることができない。

古墳分布図の記載が正しいという前提で所在地に該当すると思われる場所の少し東側に土塁様の地形部分がある。その地形部分の形状それ自体としては,前方後円墳の残骸のように見えないこともない。
古墳分布図の記載が正しいという前提を採る限り,その地形部分は,墳丘ではなく単なる土塊だということにならざるを得ない。
ただし,そもそも古墳分布図の記載が不正確であり,この土塊のようなものこそが山田・宝馬140号墳の墳丘に該当するという可能性は排除されないと思う。

所有者の方から説明を受ければすぐに分かることかもしれないが,新型コロナの関係もあるので,所有者の方の御宅を訪問することは控えた。


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北の方から見た山田・宝馬140号墳所在地付近
(写真中央付近・左右に細長い草地のある部分とその周辺)


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古墳分布図上の山田・宝馬140号墳所在地の東側にある土塁様の地形部分


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東の方から見た土塁様の地形部分


山田・宝馬140号墳所在地から約50~70mのところに山田・宝馬134号墳~136号墳の所在地がある。農道が通っているので,農道から見える範囲内で見学した。
ただし,いずれも現況では藪がひどい状態にある。そのため,肉眼で観察すると墳丘または墳丘の残部が存在していることを確認できるのだが,写真に撮ると何が何だかわからない写真となってしまう。


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北西の方から見た山田・宝馬134~136号墳の所在地付近


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北東の方から見た山田・宝馬134~136号墳の所在地付近


山田・宝馬134号墳は,直径13.0m・高さ1.5mの円墳とされている。


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北東の方から見た山田・宝馬134号墳所在地付近


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東側から見た山田・宝馬134号墳
(笹薮の奥に墳丘のシルエットが見える)


山田・宝馬135号墳は,山田・宝馬134号墳の南西にあり,直径16.70m・高さ4.40mの円墳とされている。


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南の方から見た山田・宝馬135号墳の所在地付近


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山田・宝馬134号墳所在地の南側を通る道
(道の最奥の交叉地点付近が山田・宝馬136号墳の所在地)


山田・宝馬136号墳は,山田・宝馬134号墳のすぐ南(山田・宝馬135号墳の東)にあり,全長27.80mの前方後円墳なのだが,前方部の大部分が掘削されており,直径12.20m・高さ3.10mの後円部のみが残存している。


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南西の方から見た山田・宝馬136号墳


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東の方から見た山田・宝馬136号墳


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山田・宝馬136号墳の墳頂付近


山田・宝馬134号墳~136号墳所在地となっている林の北東側に位置する畑の中には大部分が削平されている山田・宝馬130号墳の残存部分があることになっている。しかし,該当するものは見当たらなかった。
山田・宝馬130号墳は,既に湮滅したものと思われる。


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山田・宝馬130号墳の所在地付近


山田・宝馬130号墳所在地の北東の方に道が大きく湾曲する場所があり,そのあたりに山田・宝馬108号墳(直径10.60m・高さ0.70mの円墳)と山田・宝馬149号墳(直径11.10m・高さ2.50mの円墳)の所在地となっているのだが,よくわからなかった。

これらの古墳の所在地には,現在,「大幸」という食堂がある。
その食堂の駐車場中央になぜか保護された円形の築山のようなものがある。
もしかすると,それが山田・宝馬108号墳またはその名残りに該当するのではないかとも考えたのだが,たまたま定休日だったので,所有者の方と会うことができなかった。


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山田・宝馬108号墳?


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同上


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