南相馬市原町区上太田:岩屋寺と古墳(その3)

過日,曹洞宗・太田山岩屋寺(福島県南相馬市原町区上太田)を参拝した。

岩屋寺の本堂の背後(北側)にある山の南側斜面には横穴墓群(前田横穴墓群)があり,山頂付近には前方後円墳(上太田前田古墳)がある。
上太田前田古墳に関しては,南相馬市教育委員会編『原町市史 第3巻 資料編Ⅰ[考古]』(平成23年)の487~488頁に詳細な解説と測量図がある。

上太田前田古墳は,墳長31m,後円部直径21m,前方部長10mで,前方部を東の方に向けた前方後円墳。南相馬市内では与太郎内1号墳に次いで2番目の大きさをもつ前方後円墳とされている。
ただし,後円部の南西側部分約4分の1が掘削されている。これは,その掘削された場所の直下にある前田横穴墓群の横穴墓(上段のC号墳)を改変する工事のために地山の一部を大規模に掘削し,テラス状の土地を造成するために生じたものと推定される。
また,後円部の墳頂付近は,相馬氏11代・相馬重胤の墓所である「重胤公御壇」が造営されている。この重胤公御壇を構築するために,横穴墓前にテラス状の土地造成の際に地山を切り取った土の一部が後円部の上に盛られて整地されているように見える。

前田横穴墓の上段にある4基の横穴墓の右端(東端)にある横穴墓の脇から山道を登ると,すぐに山頂付近となる。そこから更に登るように見えるけれども,それは後円部の南東側斜面に重胤公御壇に至るための参道が設置されているために山が続いているように見える結果そうなっている。

上太田前田古墳は,前方部端付近の形状に関しては測量図と異なっているので一部復元されたものではないかとの疑問をもったけれども,全体としては,比較的保存状態の良い立派な前方後円墳だと思った。

重胤公御壇まで登り,合掌してからその周辺を拝見した。


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山頂に出たところから見える上太田前田古墳の前方部側面付近


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南東の方から見た後円部
(中央の小路は重胤公御壇への参道)
(写真左手は後円部南西側の欠損部分の崖)


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後円部の墳頂付近


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重胤公御壇(左の玉垣内)と新しい五輪塔(右)


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文化財であることを示す標柱の残骸(朽廃状態)


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墳頂と思われる場所にある赤色の杭
(本来の墳頂ではなく墳頂の上に土を盛った部分かもしれない)


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くびれ部付近から見た後円部


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くびれ部付近から見た前方部


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前方部頂付近


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前方部頂付近にある石材
(目印のためのもので,古墳由来石材ではないかもしれない)


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前方部頂付近から見た後円部


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前方部南東側裾付近から見た全景
(右手前が前方部・左奥が後円部)



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