南相馬市原町区上太田:岩屋寺と古墳(その1)

過日,曹洞宗・太田山岩屋寺(福島県南相馬市原町区上太田)を参拝した。

岩屋寺は,慈覚大師が聖観世音菩薩像を彫り,天台宗寺院として立院したのが始まりとされている。
相馬氏がこの地に移ってきてからは相馬氏の菩提寺となった。南相馬市教育委員会編『原町市史 第3巻 資料編Ⅰ[考古]』(平成23年)の766頁によれば,大永元年(1521年)に曹洞宗に改宗とのこと。

「岩屋寺」の本堂背後(北側)の山には前方後円墳(上太田前田古墳)と横穴墓群(前田横穴墓群)がある。
この前方後円墳(上太田前田古墳)の後円部墳頂には墳丘を二次利用して造営された相馬氏11代当主・相馬重胤の墓所があり,岩屋寺は,その菩提寺となっている。
『原町市史 第3巻 資料編Ⅰ[考古]』の766頁によれば,相馬重胤は,没後,当初は横穴墓を拡張した岩屋(龕)の中に埋葬され,後に山頂の「重胤公御壇」に改葬され,当初は岩屋(龕)に埋葬されたことから,岩屋寺は「龕置寺」とも称したとのこと。

岩屋寺は,相馬太田神社の西約1kmのところにある。
別所古墳(福島県南相馬市原町区中太田)や与太郎内古墳群(福島県南相馬市原町区中太田)を含め,周辺の古代遺跡との位置関係を重視すると,鎌倉時代よりも前の古代において,岩屋寺は,周辺地区内と密接に関係しながら存在していた非常に重要な場所だったと推定される。

岩屋寺周辺には非常に多数の横穴墓遺跡がある。手持ち時間の関係で訪問できなかったので,もし機会があれば再訪したいと思っている。


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山門


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山門側面


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本堂


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本堂屋根の破風部


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岩屋寺本堂建立記念碑


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六地蔵尊


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鐘楼


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梵鐘


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観音像


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通用門


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通用門奥の中門
(奥は客殿?)


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通用門脇にある石像


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客殿?


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昇龍の楠


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本堂前にある石材
(古墳由来のように見えないこともない)


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墓地区画の一部


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墓地区画にある地蔵尊


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墓地区画(西側)から見た古墳のある山



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