埼玉県児玉郡神川町二ノ宮:金鑚神社と御嶽城跡(その1)
2022年9月中旬のことだが,金鑚神社(埼玉県児玉郡神川町二ノ宮)を参拝した。
祭神は,天照大神・素戔嗚尊。日本武尊を配祀している。ただし,『神道集』では,祭神を金鑽大明神(本地仏は弥勒菩薩)としている。
金鑚神社は,日本武尊が創建した神社とされており,式内社・武蔵國児玉郡金佐奈神社と比定されている。
金鑽神社は,武蔵國二の宮とされているけれども,武蔵国総社・大國魂神社(東京都府中市宮町)では金鑽神社を「五の宮」として扱っており,二の宮としては扱っていない。
武蔵國一の宮に関しては,氷川神社(埼玉県さいたま市大宮区高鼻町)とすることに争いはない。
これらの点に関しては,神川町・神川町教育委員会編『神川町史』(平成元年)の430~431頁でも触れられている。式内社としての金鑽神社に関しては,『神川町史』の590~591頁に解説がある。
金鑚神社の境内には,とても立派な拝殿のほか,多宝塔などの非常に重要な文化財が多数ある。一見の価値がある。
金鑚神社には本殿がなく,建物としては拝殿があるだけであり,拝殿背後にある山全体が御神体となっている。
古代においては,古墳全体を御神体とし,墳丘の前に礼拝所を設けるような様式による神社があったと考えられる。
古代においては,古墳全体を御神体とし,墳丘の前に礼拝所を設けるような様式による神社があったと考えられる。
現在でも,過去の天皇陵(陵墓)として治定されている古墳は,そのような様式を採用しており,墳丘全体(陵墓)を御神体とし,周溝(堀)の外側に礼拝所を設けているところが多い。そして,治定されている陵墓の場合,礼拝所には,御神体(過去の天皇の御霊)を拝する場所との間を仕切る門のようなものが設置されていることが多い。
金鑽神社の拝殿と御嶽山との間にも門(中門)と玉垣がある。
そのことから,金鑚神社の社殿の様式は,治定された陵墓における礼拝所の様式と同じようなものだと考えることができる。
ただし,治定されている陵墓の全てについて,江戸時代以前からずっとそのような様式が採用されていたわけではないので,注意を要する。
あくまでも一般論だが,ここでもまた,安直な丸暗記方式は全く無力なので,全ての陵墓について,入手可能な古い図面等を逐一確認し,自分自身の努力の蓄積によって判断できるようになるしかない。
拝殿を参拝した後,背後の山の山頂に登らないと神社全体を拝したことにはならないのではないかと思い,登ってみた。
案内板によると山は2つあることになっている。金鑽神社の御神体である「御室ヶ嶽」と「御嶽山」。
しかし,国土地理院の地図では,金鑽神社の背後地に存在する山は御嶽山だけであり,その山頂に三角点が存在することになっている。
(境内案内図の位置とは逆になるけれども)金鑽神社の御神体になっている「御室ヶ嶽」とは,御嶽山の山頂から南東側の方に伸びる馬の背状の尾根の南東端にある小ピークのことだろうと判断した。この小ピークは巨大な岩石が露頭しており,その岩石の北側には「弁慶穴」と呼ばれる岩室等がある。
岩石の南西側から小ピークの頂上に登る道がある。この小ピークは,ハイキングマップ上では,単なる「見晴らし場所」として表示されている。
御嶽山の頂上付近一帯は,一体のものとして,安保氏によって築城された御嶽城の城跡遺跡となっている。安保氏に関しては,『神川町史』の461~473頁,490~492頁,513~544頁に詳しい解説がある。
御嶽山に登る山道の北側には御嶽山の山頂から東に伸びる尾根がある。この尾根を側面(南側)から見ると,巨大な土塁のように見える。石垣のようなものも見える。『神川町史』の569頁の図によれば,この東に伸びる尾根上には御嶽城の郭があり,その東端上には物見台があったようだ。
御嶽山頂からは北東の方に伸びる別の尾根があり,その北東端の南側山裾に多宝塔がある。この北東に伸びる尾根上部分は,遺跡包蔵地とはされていないけれども,その尾根上には何らかの礼拝施設があったのではなかろうか。
全部踏破するのはかなり大変だったけれども,どうにか達成。
鳥居
社号標
金鑚家の門
参道
参道の鳥居
彩華橋
金鑚清流公園(一部)
金鑚川ふるさと砂防事業碑
ふるさと砂防事業の説明碑
金鑚清流公園案内板
木村翁頌徳碑・䗝影山神社のある場所に登る石段
木村翁頌徳碑
木村翁頌徳碑の説明板
䗝影山神社
金鑚神社多宝塔の石段
金鑚神社多宝塔
金鑚神社多宝塔の説明板
参道(続き)
参道(続き)
金鑚神社の説明板
板碑?
神橋
神橋の下にある掘割
神橋の奥の鳥居
手水
境内案内板
神楽殿
拝殿側の方から見た鳥居と社務所
社務所
拝殿
社殿側面
御神体である山の前にある門
境内社
神饌所・神庫
神木
金鑚川上流(境内地~登山道脇付近)
?
ランキングの項目名はシステムによって自動的に設定される仕様となっており、固定的ではありません。任意の設定ができない仕様になっています。そのため,記事内容と関係のない項目名が示されることがあります。
この記事へのコメント