水戸市杉崎町:杉崎古墳群(その2)
過日,杉崎古墳群(茨城県水戸市杉崎町)の一部を見学した。
杉崎古墳群を構成する主要残存古墳の分布図は,茨城県教育委員会編『重要遺跡調査報告書Ⅰ』(昭和57年3月)の31頁にある。
他方,内原町史編さん委員会編『内原町の遺跡-内原町遺跡分布調査報告書-』(1994年)の分布図Ⅱ-1に分布図があり,12頁~13頁にその解説がある。
『内原の遺跡』の12~13頁にある解説と上記『重要遺跡調査報告書Ⅰ』の記載とを照合し,予め私製の仮分布図を作成しておき,それに従って古墳群を見学した。私製の仮分布図を作成するに際しては,国土地理院の地図も参照し,詳細データとの突合を行い,道である場所を特定した。
杉崎5号墳所在地の北側付近の分岐点から右折して尾根道を東進した。この尾根道を進むと,右手(南側)に円墳のような塚状地形が見えてくる。大きさから推定して杉崎10号墳(直径14m・高さ2mの円墳)ではないかと判断したのだが,確実ではない。
また,そのあたりには,杉崎11号墳(直径13m・高さ1.2mの円墳),杉崎12号墳(直径20m・高さ2.5mの円墳)があると推定されるものの,現地は笹薮になっており,また,状況からみて林内が立入禁止になっていると判断したので,その笹薮の中には入らなかった。
結局,この尾根道周辺にある古墳に関しては,よくわからなかった。無論,既に湮滅しているということもあり得る。
北東の方から見た杉崎10号墳?
北東の方に進む尾根道
尾根道の北側下に見える武具池
尾根道の南側に見える低いこぶ状地形部分(墳丘?)
尾根道を北東方向に更に進むと,道の左手(北側)に比較的大きな塚のようなものが見える。杉崎9号墳に該当すると判断した。
杉崎9号墳は,全長40m・前方部及び後方部とも高さ7mの前方後円墳とされている。
『内原の遺跡』の分布図では,杉崎9号墳の前方部が南西の方に向いているように記載されている。
東の方から見た杉崎9号墳(後円部?)
杉崎9号墳所在地付近から更に東進すると,T字路のようになった分岐点に至る。この場所は,地図上では南北の道とぶつかるT字路のようになっているため,直進(東進)できないのだが,そのあたりの場所に立入禁止の金属チェーンが設けられていた。道だと勘違いして進む人があるのかもしれない。
このT字路のようになった分岐点から北に折れると(国土地理院の地図上では)武具池の所在地の方に降りるようなのだが,そちらの方には行かなかったので,詳細は不明。
この分岐点から南の方に折れ,少し下るような感じで道を進んだ。
この道は,全体として,武具池の南側に位置する尾根の東端から杉崎古墳群内の東側の尾根の西側~南西側を大きく回るようにして下る道となっている。
この道をそのまま下ると,(国土地理院の地図上では)途中で富士神社参道方面への分岐点を経て,八幡神社の境内地付近に至るようだ。ただし,この道の下の方(八幡神社近く)まで降りなかったし,八幡神社の裏から山道を登ることもなかったので,現在でも八幡神社と富士神社との間の道として利用されているか否かは不明。
杉崎古墳群内の東側に位置する尾根上にはとても大きな円墳がある。この大きな円墳は,通称「おふっちゃま(御富士様)」と呼ばれる杉崎14号墳に該当する。
杉崎14号墳は,直径28m・高さ6m,墳頂平坦部直径12mで,大きな周溝をもつ円墳とされている。その墳頂には富士神社の社殿がある。富士神社の参道は南東側にあり,東側尾根の中腹付近に富士神社であることを示す標石があり,その場所に注連縄がはってある。全体としてとても丁寧に管理されている。素晴らしい。敬意を表する趣旨で参拝した。
なお,注連縄の背後(北側)に小さな塚状地形があり,参道はその塚状地形部分の上を通っている。この塚状地形部分は,杉崎17号墳(直径15m・高さ1.5mの円墳)に該当すると判断した。
墳丘と周溝の規模から推定すると,この地方において最も勢力のあった者が被葬者であることは,疑いようがない。
南の方から見上げたT字路分岐点から南下する道
富士神社の標柱と注連縄
(注連縄背後の高まり部分は杉崎17号墳と思われる)
(この参道を登ると杉崎14号墳を基壇部とする富士神社に至る)
富士神社の標柱近くにある大きな石材
注連縄のある場所から下る参道の一部
北の方から見た杉崎17号墳と思われる塚状地形部分
(中央の道は富士神社の参道)
(奥に注連縄の一部が見えている)
杉崎17号墳と思われる塚状地形の近影
杉崎17号墳と思われる塚状地形の側面
杉崎17号墳と思われる塚状地形の上から見上げた参道
参道上部
南の方から見た杉崎14号墳
富士神社の石祠
杉崎14号墳の墳頂付近の様子
南東の方から見た杉崎14号墳
南西の方から見た杉崎14号墳
西の方から見た杉崎14号墳
杉崎14号墳の周溝(一部)
同上
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