佐久市根々井:正法寺と根井氏館跡

過日,真言宗智山派・天神山正法寺(長野県佐久市根々井)を参拝した。本尊は,十一面観世音菩薩。
佐久八十八箇所霊場第三十六番札所となっている。

正法寺の境内地とその周辺は,木曾義仲の軍勢の主要部分を担った根井氏の館跡とされている。根井氏は,滋野党望月氏の支流とされている。根井氏は,広大な牧をもち,騎馬軍団を主体とする強力な軍事力を保持していたと推定されている。
一般に,このような牧の経営と軍馬の生産は,聖徳太子と関連する伝承にもあるような古墳時代~奈良時代から続くものとも考えられ,もともとは何らかのかたちで蘇我氏と関係するものだったのかもしれない。
現在の佐久市の地名の起源としての「佐久(柵)」は,通常は,軍事上の要塞を指すものとして理解されているけれども,もしかすると牧の経営と関連する用語だったかもしれないと思った。この点は,群馬県~栃木県~茨城県~千葉県の牧関連遺跡と類似地名でも同じ。ただし,朝廷軍(倭武)の進出の及んだ範囲と合わせて牧の範囲にも変動があったと考えられる。

根井氏館跡の範囲は,正法寺の境内地だけではなく周辺一帯を含むもので,かなり広い。その全部を見学することは時間的に無理だったので,境内地だけを拝見した。

正法寺は,木曾義仲の四天王の一人とされる滋野行親(根井行親)ゆかりの寺院であり,境内にある石造五重の塔は,根井行親の供養塔とされている。その塔の前で合掌した。

境内地には滋野天神神社があり,その基壇部は館の土塁の残骸かもしれないというような印象を受けた。


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正法寺入口付近


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参道


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本堂


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佐久八十八箇所霊場三十六番札所御詠歌の碑


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根々井氏館跡の説明板


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標柱


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根井行親供養塔


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正法寺境内にある滋野天神神社の鳥居


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滋野天神神社の社殿


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滋野天神神社の左側の狛犬


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滋野天神神社の右側の狛犬


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滋野天神神社の基壇部


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毘沙門天?


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石塔


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興教大師蔵


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正法寺境内地から見える景色


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同上



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