千葉県山武郡芝山町小池:小池古墳群(その1)

2022年9月中旬のことだが,小池古墳群(千葉県山武郡芝山町小池)を見学した。小池古墳群は,現在では6基の円墳(小池1号墳~小池6号墳)で構成される古墳群とされているが,既に湮滅した前方後円墳が2基あるので,元は8基の古墳で構成される古墳群だったことになる。
小池古墳群の詳細な古墳配置図は,芝山町教育委員会編『芝山町史 資料集1 原始・古代編』の第2分冊の524頁にある。

小池古墳群の範囲内とされている場所を実際に見学した結果,千葉県の遺跡地図及び芝山町の古墳配置図には記載のない古墳のようなものが1基あるのを見つけた。

そこで,その後,芝山町の教育委員会に出向き,その古墳のようなものに関する関連情報を収集することにした。

小池古墳群は,芝山町役場のすぐ近くにあり,残存墳丘の大部分が道路に面しているため,「古墳の町」をキャッチフレーズにしており,古墳祭りのようなイベントも挙行されている芝山町役場に勤務している者で知らない者は皆無だろうと信じていた。
一般に,古墳と無関係の自治体の一般事務職員であれば,自治体内に現存する古墳や古墳群に関して全く無知・無教養でも仕方のないことだと思う。しかし,「古墳の町」をキャッチフレーズにしている芝山町の教育委員会勤務の職員に関する限り,芝山町指定の文化財の概要(少なくとも,著名な古墳及び古墳群の名称と地図上の所在地情報)を一応全部暗記しているのでなければ,そもそも仕事にならないのではないかと思う。
私のようなひどく凡庸な者でも1時間もあれば関連情報全部を完全に暗記できるので,私よりもずっと優秀な者を採用しているであろう芝山町の職員であればもっと短時間に全部暗記できるだろうと推定するし,そうでなければならない。
世間一般の人たちも,そのように期待し,職員が一定の専門知識をもっているだろう期待して教育委員会を訪問するので,そのような期待を裏切るようなことがあってはならないと思う。
しかし,現実にはそうではなかったので,私としては困惑するしかなかった。

とはいえ,その日は,幸いなことに,芝山町立芝山古墳はにわ博物館の学芸員の方も参加した会議の最中だったようで,ある男性職員の機転により,その会議に出席していた学芸員の方を呼んきてくれたので,この分野の専門家である学芸員の方から説明を受けることができた。
説明を受けている間,その学芸員の方は会議を中座していることになるかもしれないので,その点ではご迷惑をおかけしたことになるかもしれない。

そのようにして,その学芸員の方に対して私が見た古墳のようなものに関して説明し,情報提供し,そのあとでその学芸員の方から説明していただいた。
それによれば,当該古墳のようなものに関しては,芝山町としては全く把握していない対象物だということだった。
無論,理屈の問題としては,古墳そっくりの現代のオブジェまたは築山のようなものである可能性は否定されないので,古墳時代の古墳でも後代の塚でもないという可能性は残る。
今後,調査が実施されるかもしれないので,(先ごろ大塚初重先生が他界されたことだし,この私もいつまで元気で生きていられるか全くわからないのだが)生きている間は何年でもその調査結果を待とうと思う。

問題の古墳のようなものは3号墳と4号墳の間(4号墳の北約60m)の斜面・竹林内に存在している。

以下,このブログ記事では,1号墳~6号墳まで順に記事を書き,問題の古墳のようなものについては,3号墳と4号墳の間のところで記事を書くことにする。

さて,小池1号墳は,千葉県道45号八日市場八街線に面して,芝山町役場の南東約400mのところに位置する交差点の北東側角にある。墳丘中の道路に面している部分はかなり掘削されているようで,特に主体部(横穴式石室)が存在していた墳丘南東側は,ごっそりと掘削されている。現況では石室が消滅しているように見える。この横穴式石室に関しては,昭和31年に発掘調査が実施され,人骨の破片と多数の副葬品が発見されているので,その後破壊されたものと思われる。
小池1号墳の東側には小さな御堂が隣接している。この御堂には文殊菩薩が祀られている。
小池1号墳の残存部分の大きさは,目測で直径20mに満たないように見える。記録上では,小池1号墳は,直径30m・高さ6mの円墳とされている。


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西の方から見た小池1号墳所在地付近


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小池1号墳の墳頂にある供養塔


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小池1号墳の近影


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北西の方から見た小池1号墳


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南の方から見た小池1号墳


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東の方から見た小池1号墳


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小池1号墳の横穴式石室があった場所付近?


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小池1号墳の東側隣地にある「文殊様」の御堂


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「文殊様」の境内地にある馬頭観世音碑


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「文殊様」の境内地南東角にある道標


小池2号墳は,小池1号墳の南側に道路をはさんで向かい合うようにして位置している。記録上では,直径9.6m・高さ2.90mの円墳とされているが,墳丘の東側と西側が大きく掘削されているので,残存部分は小さい。


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北西の方から見た小池2号墳


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北東の方から見た小池2号墳


小池3号墳は,直径10.0m・高さ2.90mの円墳とされている。小池3号墳は,小池2号墳のすぐ南側に現存しているが,民家敷地内にあるので,道路からは部分的にしか見えない。
小池3号所在地のすぐ西側には,かつて前方後円墳が所在していたけれども,現在では完全に消滅しており,現況は畑となっている。


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湮滅した前方後円墳所在地付近
(小池3号墳の所在地は中央奥付近)


この現況畑となっている場所から道路をはさんだ西側にもかつて前方後円墳があったけれども,現在では完全に消滅しており,現況は畑となっている。


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西側の前方後円墳所在地付近


『芝山町史 資料集1 原始・古代編』の第2分冊の524頁には記載されていないけれども,小池1号墳所在地と芝山町役場との中間地点付近に小さな墓地区画がある。
状況から見て,かつて,古墳時代の古墳または後代の塚があった場所ではないかと思う。


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墓地区画に並ぶ六角地蔵塔と供養塔


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同上



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