古河市仁連:古河市三和資料館第28回企画展発掘された古河13「三島遺跡~奈良・平安時代の集落跡~」
先日,古河市三和資料館(茨城県古河市仁連)を訪問し,現在開催中(2022年7月2日~10月2日)の「三島遺跡~奈良・平安時代の集落跡~」という企画展を見学した。
この資料館は,図書館の建物に併設されているので,それほど大きくはないのだが,企画展の展示内容は密度が濃く,特に土器・須恵器がわかりやすく分類されて展示されている。官人が装着したベルトの装飾具も展示されている。
発掘報告書等の資料が無償で配布されていたので,ありがたく頂戴した。帰宅してから全部精読した。とても勉強になった。
『古河市略』という書籍が販売されていたので,購入した。内容的には一般向けのガイドブック的なものなのだが,付録としてついている古地図の縮小版レプリカがとてもありがたい。遺跡等の見学の際には非常に役立つ。
担当者の方の対応は,丁寧だった。
官人が身につけたベルト用装飾具のような出土品によって,「当時の支配階級である官人の服飾は倭的なものではなかった」という事実が更に明確にされつつある。
国粋主義に凝り固まっている人からすると奇異な見解であるかもしれないが,現代の国粋主義全盛期(明治~昭和前期)においては西洋風の服飾が導入され,「西洋風の服装をしている」ということが支配階級に属していることの証拠となったというのと同じだと考えれば良い。
現代でも宮中で天皇に謁見する際は,西洋風の「モーニング」なる服装とすることがしばしばある。
むしろ,夜でも「モーニング」を着用したりすることがあることを奇異に思うべきだろう。服飾に関する誤解や錯覚に関する限り,岩倉具視使節団の時代の状況とは完全に異なる情報流通があるのに,情報を重視しようとしない社会の基本的な「構え」のようなものは少しも変わっていない。
古河市:三和資料館
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