佐野市赤見町:蓮沼古墳群(その2)
過日,蓮沼古墳群(栃木県佐野市赤見町)を見学した。
蓮沼古墳群は,元は非常に広い範囲の古墳群を示す名称だったが,現在,佐野市運動公園の北側にある中山に分布する古墳群は中山古墳群(栃木県5316遺跡)として,五箇古墳(湮滅)を中心とする古墳群は五箇古墳群(栃木県5319遺跡)として,別異に扱う例になっている。現在の蓮沼古墳群(栃木県5317遺跡)は,中山古墳群及び五箇古墳群に含まれる古墳を除いた古墳によって構成される古墳群ということになる。このブログにおいても,栃木県5317遺跡を示すものとして蓮沼古墳群という呼称を使用することにする。
蓮沼4号墳(佐野市203遺跡)は,直径10m・高さ2.5mの円墳とされている。蓮沼4号墳に該当すると推測可能な古墳は,佐野市運動公園管理事務所の正面入口の南約50mのところにあり,墳丘の北側の一部が歩道によって削平されている。佐野市史編さん委員会編『佐野市史資料第2集 佐野市遺跡所在目録』(1972年)によると,南側に横穴式石室が開口しているとのことなのだが,古墳所在地が私有地内なので立ち入ることができず,確認できなかった。そのため,開口の有無は分からない。
(国旗掲揚場所付近が蓮沼2号墳所在地付近)
北の方から見た蓮沼4号墳
北東の方から見た蓮沼4号墳
蓮沼4号墳の墳頂付近
西の方から見た蓮沼4号墳
蓮沼5号墳(佐野市205遺跡)は,蓮沼4号墳の西側に隣接しており,直径15m・高さ2.5mの円墳とされている。私有地内にあり,フェンスに囲まれているため,近くまでアクセスできないが,フェンス越しに,古墳所在地の北側と西側の道路から見える。
北西の方から見た蓮沼5号墳所在地付近
西の方から見た蓮沼5号墳
北の方から見た蓮沼5号墳
蓮沼4号墳と蓮沼5号墳の所在地北側を通る道路
(蓮沼13号墳と蓮沼14号墳の所在地?)
蓮沼6号墳(佐野市205遺跡)は,記録上では墳裾の一部湮滅しているが,直径15m・高さ2.5mの円墳とされている。記録上の所在地の現況は資材置き場のような場所になっている。
記録上の蓮沼6号墳所在地の少し南(現況資材置き場のような場所の南東隅~南側隣地とにまたがる場所)に円墳のようなものが存在する。これが円墳だとすれば,蓮沼6号墳に該当し,同墳は現存していることになる。
逆に,記録が正しいとすれば,円墳のように見えるものは単なる土塊ということになりそうだが,立地から考えて,単なる土塊ということはありそうにないので,蓮沼6号墳だろうと判断した。
東の方から見た蓮沼6号墳?
北の方から見た蓮沼6号墳?
蓮沼7号墳(佐野市206遺跡)は,蓮沼5号墳の南約50mのところにあり,直径20m・高さ3mの円墳となる。蓮沼4号墳~蓮沼10号墳が所在する区画内では最大規模の円墳。
蓮沼7号墳は私有地内にあるため,公道から見える範囲内で見学した。
蓮沼4号墳と蓮沼7号墳との中間付近に,塚状地形があるように見える。その所在地は荒地のようになっていて草ぼうぼうなのだが,その中央付近に少し盛り上がっているように見える部分があるのだ。ただし,目の錯覚に過ぎず,その場所だけ丈の高い草が生えているということはあり得る。
栃木県教育委員会事務局文化課編『栃木県埋蔵文化財地図』(平成9年3月)においても,その場所付近に古墳が存在することになっている。その塚状地形のように見えるものが目の錯覚に過ぎず,墳丘が存在しない場合であっても,そのあたりが古墳所在地となっている。
仮にその塚状地形のように見えるものが古墳である場合,その古墳は,『佐野市史資料第2集 佐野市遺跡所在目録』に記載のない古墳ということになる。墳丘の存否及び正確な付番がわからないので,このブログ記事では,とりあえず,蓮沼15号墳としておくことにする。
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