相馬市坪田:高松古墳群(その2)

都玉神社(福島県相馬市坪田)を参拝し,同社境内地の背後の山に所在する高松古墳群の古墳と思われる塚状地形部分を見学した後,都玉神社の鳥居を出て,高松地区の南辺を通る道路を南東の方に徒歩で移動し,高松多目的集会所所在地の方に入る道を通って,墓地区画のある場所に至った。
途中の集会所南側付近の道路は,路肩部分が壊れていて,工事中だった。2022年3月16日の大地震(マグニチュード7.4)による被害の一部だと思われる。墓地区画内にある墓石の中にも倒壊しているものがあった。これも地震の影響によるものと思われる。

高松1号墳は,この墓地区画の北西端付近にある。高松1号墳は,地山の長い尾根の一部の上にあるのだが,ここより西の方は,堀切のような大規模な急崖となっていて地山の尾根が連続していない。東の方に連続する尾根部分は,その大部分が工場敷地として掘削されてしまっているようで,山として残存している部分に関しては通行可能な道がみつからなかったので,そこに立ち入ることを断念した。将来,通行可能な道をみつけたら再訪しようかと思っている。
このようなわけで,高松1号墳が高松古墳群で最後に見学する古墳となった。

高松1号墳は,全長21.5m,後円部直径13m・後円部高さ2.6m,前方部幅6.8mの前方後円墳とされている。極めて素晴らしい副葬品が出土している。その概要は,相馬市史編さん委員会編『相馬市史4 資料編Ⅰ 原始・古代』(平成27年)の725~739頁の中で示されている。副葬品の豪華さから推測すると,国造レベルの上級官僚の墳墓であった可能性があると考えられ得る。
高松1号墳の前方部に相当する部分は方形の墓地区画に姿を変えてしまっているので,前方後円墳のようには見えない。
墳丘南西側裾付近には石室の天井石3個が置かれていたようなのだが,私が訪問した時には2個しかなく,もう1個はずっと下の方に転げ落ちていた。地震(余震?)の影響によるものと思われる。

高松1号墳の所在地となっている墓地区画には,他にも複数の古墳があったのに違いないと推測されるのだが,他の古墳は完全に湮滅しているようだ。

IMG_1206.JPG移動の途中で見えた景色


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移動の途中に観たダイサギ


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古墳所在地の方に進む道路への曲がり角


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工事中の道路


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集会所所在地付近


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古墳群所在地となっている尾根の東側の部分(現況工場敷地)


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墓地区画に登る道


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墓地区画


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東の方から見た高松1号墳の後円部残存部分


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後円部の主体部付近


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後円部裾付近にあった残存天井石


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墳丘の下に転げ落ちていた天井石中の1個


高松1号墳の所在地となっている墓地区画の北側隣地には八坂神社(福島県相馬市成田)がある。
八坂神社の境内地も元は古墳所在地だったようなのだが,現在では完全に削平されたのと同じような状況となっている。本殿の背後に墳丘の残骸かもしれないものがあったけれども,地山の一部である可能性が高く,何とも言えない。
八坂神社の社殿も地震による大きな被害を受けたようだ。私が訪問した時には修理のための工事中だった。


IMG_1273.JPG八坂神社の鳥居と石段


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拝殿


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本殿


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 福島県立相馬高等学校郷土部「高松古墳群第一号墳調査の意義について」



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