相馬市坪田:涼ヶ岡八幡神社
過日,涼ヶ岡八幡神社(福島県相馬市坪田涼ヶ岡)を参拝した。祭神は,誉田別命・帯中彦命・息長足姫命。
涼ヶ岡八幡神社は,建武年間に創建された神社。相馬氏と関係の深い神社であり,現在の社殿は元禄8年に相馬藩主によって造営されたものとのこと。相馬氏に関しては,岡田清一『相馬氏の成立と発展』(戎光祥出版,2015年)という書籍が出ている。
比較的長い参道を歩いて到達する境内地は,方形をしており,その四周を土塁が囲み,その外側を堀が囲んでいる。鎌倉時代~室町時代頃の武士の館にしばしばみられるプランと同じものであり,非常に興味深い。厳しい戦乱を生き抜いた相馬氏なので,いざという時に館または砦として利用可能な軍事施設としてもこの神社を造営したことは当然に考えられる。ただし,現時点においては,涼ヶ岡八幡神社の境内地を館跡等の遺跡とする指定はない。
境内には「矢旗塚(矢籏塚)」という塚がある。この塚は,古墳ではないとされている。しかし,境内内の様子と近隣にある古墳群との関係等から,古墳の二次利用物の可能性が全くないわけではないというような印象を受けた。戦勝を期すために矢や旗を埋めた塚との伝承があるようなのだが,新しく塚を造営したのではなく,既存の塚に矢や旗を埋め,「八幡」にかけて祈願したものだということは想像に難くない。ただし,現時点においては,涼ヶ岡八幡神社の矢旗塚(矢籏塚)を何らかの遺跡とする指定はない。
2022年3月16日に発生した福島県沖地震(マグニチュード7.4)により大きな被害を受けたようで,私が訪問した時にはその復旧工事の最中だったようだ。社殿はほぼ問題のない状態のように見えたのだが,神社入口にあるはずの鳥居の姿はなく,倒れて壊れたままの石碑等があった。福島県北部~宮城県南部では,2022年3月16日の地震によってかなり大きな被害を受けた施設が少なくなく,そのために閉館中の資料館や博物館等が少なくない。一般家屋の中にも屋根瓦の破損等の被害を受けたところが少なくない。
神路橋
放生池
神路橋から見た参道
境内案内図
参道
境内地南東隅付近の堀
随身門
随身門の説明板
随身門東側の堀
随身門付近の堀
境内地南西隅付近の堀
拝殿前の参道
拝殿
本殿
本殿側面の装飾
本殿装飾の説明板
神社建物の説明板
境内社(亀齢社)
亀齢社前の敷石
境内社(稲荷神社)
稲荷神社の説明板
境内社(多賀神社・足尾神社)
境内社(山津見神社・富士神社)
境内社(住吉神社・粟嶋神社・貴布根神社)
住吉神社・粟嶋神社・貴布根神社の説明板
境内社(伊勢大御神)
境内社(體興霊神社)
體興霊神社の説明板
境内社(若宮八幡宮)
若宮八幡宮の説明板
神楽殿
献額殿
手水
夫婦杉
夫婦杉の説明板
謎のイチョウ
謎のイチョウの説明板
縁結びの榧
縁結びの榧の説明板
希少なラン科植物の説明板
矢籏塚
涼ヶ岡八幡神社
相馬市:国指定文化財
この記事へのコメント