藤枝市:若王子古墳群(その1)
過日,若王子古墳群(静岡県藤枝市若王子)を見学した。
若王子古墳群は,蓮花寺池公園の西端付近に位置する細長い山の尾根上に存在する。この若王子古墳群の所在地である尾根上部分は,蓮花寺池公園の「古墳の広場」という区画になっているのだが,そこに至るためには結構の高さを登らなければならない。
「古墳の広場」に至る経路は2つあり,蓮花寺池の「梅園」付近から比較的急斜面を登って「お姫平」の北側付近に至り,そこから更に進んで「古墳の広場」に到達する道と「フジの庭園」付近から登る道とがある。「フジの庭園」付近から登る道のほうが分かりやすい。なお,「お姫平」付近へは,更に南側の「花しょうぶ園」の奥付近から山道を登ることによっても到達できるようだ。私は,「梅園」の奥から山道を登って「古墳の広場」に至り,古墳群を見学した後に「フジの庭園」の方に下る遊歩道を経由するというコースを選択した。
若王子古墳群に関しては,藤枝市史編さん委員会編『藤枝市史 資料編1 考古』(平成19年)の435~450頁に詳細な解説がある。
若王子古墳群は,28基の古墳(主として円墳)で構成される古墳群とされているが,その中には,現在では古墳ではなく方形周溝墓だと理解されているものもあり,また,墳丘のない古墳や他の古墳の一部を二次利用して構築された古墳もあるので,明確な墳丘が28基残されている場所というわけではない。
例えば,若王子古墳群の南端付近に位置する18号墳は,13号墳の下にあるようなのだが,明確に墳丘を識別できるわけではない。同じく若王子古墳群の南端付近に位置する14号墳は,15号墳のすぐ西側にある竹林の中にかなり低い墳丘様のものが残るだけなので,小さな古墳や方形周溝墓(またはその残骸)を見慣れていないとそれが古墳の墳丘またはその残骸かもしれないとは認識できないかもしれない。
若王子古墳群の1号墳の北側にある23号墳(方形周溝墓)の所在地は,現在では四阿の敷地となっており,墳丘はない。若王子古墳群の北端付近にある26号墳と27号墳は,その地下遺構が存在するだけであり,地上に墳丘またはその残存物等があるわけではない。その他,わかりにくい場所にある古墳や石室残部だけの古墳もある。
以上のような細かなことはさておき,一般人が直接かつ比較的容易にアクセス可能な場所にある大規模古墳群であり,しかも,史跡公園として丁寧に整備され,公園としての眺望も極めて素晴らしい場所だと判断した。学術上の正確性と一般人にとっての利用容易度(アクセスの容易度)とを併せて総合的に考えると,非常に優れた史跡公園の1つだと言える。ただし,説明板の記載には改善の余地があると思う。
「梅園」の奥の山道から見える景色
「梅園」の奥の山道のある斜面
「お姫平」の北側付近から「古墳の広場」に至る尾根道
南東の方から見た若王子古墳群所在の南端付近
若王子古墳群の南端部分付近
(左手前が15号墳・その奥が16号墳)
(右手前が13号墳・右中央が12号墳・右奥が19号墳)
南の方から見た13号墳
(右手前が18号墳所在地付近)
北の方から見た13号墳
南の方から見た15号墳
南の方から見た15号墳(左手前)・16号墳(中央)・17号墳(奥)
北の方から見た15号墳
15号墳(右)の西側にある竹林(左)
竹林内にある14号墳所在地と思われる場所
北の方から見た16号墳
(左奥は15号墳)
南東の方から見た17号墳
東の方から見た17号墳
12号墳の墳丘上から見た17号墳
蓮花寺池公園
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